バイオレンスアクション邦画の第二弾をU-NEXTで観ました。
監督・脚本は石井隆。予告編はコチラ。
宝石店で妻(多岐川裕美)がうらやましそうに見ている高額の宝石を買えずに、お手頃価格の宝石を買う外山(緒形拳)は暴力団からの借金の取り立てで資金繰りに困っています。工場兼自宅に帰ると、待ち構えていた暴力団の連中が妻を輪姦。そのショックで妻は首吊り自殺。復讐を誓った外山は暴力団事務所を襲撃。現金500万を強奪して、妻が欲しがっていた宝石(猫目石)を買いに宝石店に向かいます。その店には、経営難のフィットネスクラブ店長の蘭(余貴美子)、男性にトラウマを持つ早紀(夏川結衣)、女子高生だと言い張る援交おばさんのサユリ(大竹しのぶ)、夫に浮気されて現場で暴れ回った志保(西村由海)もたまたま客として居合わせていました。運の悪いことに、恋人を装って来店した梶(松岡俊介)と直子(片岡礼子)が仲間とグルになって宝石強盗で押し入ってきたため、店内はパニック。実は、宝石店店員のちひろ(喜多嶋舞)が首謀者である梶の恋人で、強盗団への手引きをしていました。蘭もスタンガン持参で強盗するつもりだったのに、意表を突かれてビックリ。
スムーズに犯行が完了行するかと思ったところ、先を越されてヤケクソになった蘭が強盗団から銃と宝石を奪おうと大暴れ。それを見ていた早紀、サユリ、志保も参戦して強盗団を撃退して、ちひろを人質にして店から逃走。帰り際に宝石を買いに来た外山とすれ違います。宝石をせしめた女5人はそのまま行動を共にしますが、隠れ家にしていたディスコ跡地に外山が急にやって来て、盗んだ猫目石を売ってくれないかと懇願。そこに、ちひろの密告で梶たち強盗団も来襲。サユリが射殺されて、ちひろは梶に見捨てられそうになります。しかし、外山が梶のそばにいた直子に斬りかかります。梶たちは宝石を強奪して逃走。残った女どもは重傷の直子を連れて蘭のフィットネスクラブに移動。志保だけがこっそり抜け出して帰宅。ちひろは強盗団に合流しようとするも、待ち構えていた暴力団に捕まって監禁されます。やがて、蘭と早紀も捕らえられますが、逃げ延びたちひろと外山が助けにやって来て、またまた、暴力団との殺し合いに発展して・・・というのが大まかなあらすじ。
劇場公開は1996年6月29日。前作の「GONIN」(1995)は映画館で観ましたが、こちらは未見。余貴美子、夏川結衣、片岡礼子、喜多嶋舞といった好みの女優さんが大挙出演しているので絶対観ておかないといけません。たまたま同じ場所にいた5人の美女が一時的に仲間となって、隠れたと思ったらすぐ捕まったりの繰り返しで女たちと男たちが戦う強引なストーリー。各人の熱演が空回りしてお芝居のアンサンブルが上手くいってません。女性が凌辱されることがいつも物語の起点になっている石井隆のエロ劇画の王道を行く旧時代的な作風は相変わらず。一連の映像で観ると散漫な印象で、気持ちが物語にノっていけない作りなんですが、改めて画面をスクショしてみると、画になるショットが沢山あることに気づきます。全体のバランスよりも各シーンの魅せ方重視で、こだわりの照明や場所やアングルでかっこいいショットを押さえようとしている気概はとても素晴らしいです。(全国に数人いるかもしれない)女性のアゴフェチにはたまらないアングルもあり。
俳優陣にはそれぞれに見どころアリ。自殺した妻の死体を助手席に乗せながら復讐に燃える男が、安定の緒形拳。なかなか死なない不屈の根性を工場運営に生かせなかったのが残念。自分は女子高生だと言い切るウザい中年女役の大竹しのぶは謎の怪演。あと、イカレた殺し屋役の鶴見辰吾がノリノリ。暴力団の手下の中では、山口祥行の立ち振る舞いの美しさが印象的。女性版のGONINとなる本作であられもない姿を披露してくれるのは、喜多嶋舞、夏川結衣、片岡礼子の3人。1本の映画でこれだけ奮発してくれれば何の文句も言えません。特に、喜多嶋舞のフォトジェニックな脱ぎっぷりが秀逸。集団を束ねる余貴美子にも濡れ場があればグランドスラム達成でしたが、ちゃんと見せ場はあるので良しとしましょう。一抜けする西山由海だけは周りの圧に押されて、ほとんど目立っていません。ラストで左とん平が美女軍団に殺されるシーンでは石井隆作品常連の椎名桔平と根津甚八が、スタンガンショップ店員役では竹中直人がカメオ出演。写真で出ているという佐藤浩市は見つけられませんでした。