「フェデラー ~最後の12日間~」(2024)

 

テニス界のレジェンドの現役最後の試合の様子を描いたドキュメンタリーをAmazonプライムビデオで観ました。

 

 

監督はアシフ・カパディア、ジョー・サビア。予告編はコチラ

 

テニスについては錦織選手がピークだった頃、よく生放送で見ていました。そのうち、ブックメーカーにも興味を持って、しょーもない下級ツアーのゲームもリアルタイムで見て・・・というのは置いといて、過去に遡ると、ボルグ、コナーズ、マッケンローの時代からうっすらとニュースで結果を見ている程度で詳しくはない方です。どちらかというと、レンドルやデルポトロのような豪快タイプの選手が好きです。そんな選手とは対照的なのが、ロジャー・フェデラー。多彩で自在なプレースタイルは他を圧倒していて、4大大会での優勝回数歴代1位(20回)。加えて、人間性も素晴らしく、史上最高のプレーヤーの称号がピッタリの彼が、2022年9月に24年間の現役生活に終止符を打つことになって、SNS上で引退を発表する動画を発信してから、最後のトーナメントであるレーバーカップで闘う様子を収めたのが本作。選手としての偉大さだけでなく、人柄の良さと人望の厚さが丸分かりの内容になっています。

 

元選手の奥さんミルカと4人の子供に恵まれた家庭生活も円満そのもので、絶対浮気してそうにないです。現役生活最後の舞台となるレーバーカップとは、1960年代に活躍した名選手ロッド・レーバーの名を冠した団体戦で、トップ選手が欧州選抜と世界選抜に分かれて戦う、エキシビジョン要素もある公式戦。フェデラーも創設者の一人で名を連ねています。この年の大会会場になったロンドンには、キャプテンのボルグ率いる欧州選抜として、ジョコビッチ、マリー、ナダル、フェデラーのBIG4が集結。対する世界選抜のキャプテンはマッケンロー。フェデラーは最大のライバルで大親友でもあるナダルとのダブルスの試合で出場するという胸アツの場面設定が用意されています。そして、試合展開はタイブレークに持ち込まれて、マッチポイントとなったフェデラー・ナダル組のサーブを打つのはフェデラー大観衆が見守るなか、果たして結果はどうなったかというと・・・というのは大まかなあらすじ。

フェデラーの語りを中心に、ロンドンに訪れたジョコビッチ、マリーがフェデラーへの思いを語ります。大会前日に訪れたのはナダル。引退発表の数日前に直接フェデラーから報告を電話で受けた後に泣いてしまったナダルも、フェデラーへの熱い思いを語ります。大会前の華やかなセレモニーを経て、試合当日、会場の熱狂的な拍手に迎えられた選手たち。今年に限っては、主役が引退するフェデラーであることは観衆も知っています。その中にはヒュー・グラントの姿もありました。ゲームが終わって、涙を流しながらチームメイトを抱きしめて、インタビューではファンや家族、ライバルたちへの感謝を述べるフェデラー。その間、ライバルのナダルはずっと泣いています。これ以上ない最高な形で行われた引退セレモニーがそこにはありました。誰からも愛されるフェデラーにふさわしいオーソドックスな作りで楽しめるドキュメンタリーでございました。