「暗殺指令シャター」(1974)

 

ハマープロとショウ・ブラザーズ合作のアクション映画を観ました。初見。

 

 

製作・監督はマイケル・カレラス。予告編はコチラ

 

アフリカのバダウィ国家指導者ムゴヤが、紫色のヘンな被り物をした男のカメラに仕込まれた銃暗殺されます。暗殺者の名は、プロの殺し屋シャッター(スチュアート・ホイットマン)。くたびれた顔をしたおっさんです。報酬を受けるために香港入りしたシャッターは何者かに命を狙われます。依頼主の銀行家レーバー(アントン・ディフリング)を訪ねると、契約なんか知らねえと言われて支払いを拒否されます。さらに、国際警察のラットウッド警部(ピーター・カッシング)の部下に捕らえられて、香港から24時間以内で出ていけと忠告されます。ボコボコにされているシャッターを助けたのは、近くのマッサージパーラーでバーテンをしているタイパー(ティ・ロン)。彼からマッサージ嬢のメイミー(リリー・リー)を紹介されてイイ仲になっていきます。タイパーが出場する異種格闘技ショーカンフーの腕前を知ったシャッターはタイパーをボディガードに雇います


香港を出ないシャッターを締め上げに来たラットウッド警部を撃退するタイパー。アヘン取引を止めた報復で犯罪組織がムゴヤの暗殺を企てたことをラットウッドから聞いたシャッターは、暗殺時にムゴヤが持っていた機密書類と引き換えに100万ドルをレーバーに要求。取引は成立するも、受け渡し場所でレーバーの手下銃撃戦になって、護衛に来ていたリリー・リー犠牲になります100万ドルも奪われてしまったシャッターは、タイパーと共にレーバーのいるマカオに向かいます。レーバーのアジトにはムゴヤの弟もいて、彼をバダウィ国家の次期指導者にしてアヘン取引を再開しようとしていました。そうはさせじと、タイパーがカンフーで大暴れ。手下が全滅にされて逃走しようとするレーバーとムゴヤ弟に怒りの弾丸をぶち込むと、ホテルの高層階の窓から落下した二人ご臨終。事件を解決したシャッターは、国際警察から報酬を受け取りましたとさ・・・というのが大まかなあらすじ。

原題は「Call Him Mr. Shatter」。ビデオリリース時の邦題をどうして「シャター」にしたのかは謎です。「燃えよドラゴン」(1973)でゴールデン・ハーベストと組んで大成功したワーナーに負けじと、低迷する英国ハマープロが低迷するショウ・ブラザーズと組んで、香港を舞台にしてクライムアクションに挑んだのが本作。主演は当時46才のスチュアート・ホイットマン。「史上最大の作戦」から「悪魔の沼」まで幅広いジャンルでの活躍をした人で、本作では終始疲れた顔でシャッターを演じています。カメラのシャッターを切ったと同時に銃弾が炸裂する秘密兵器を有するシャッター。殺害場面の証拠写真を撮影できるので一石二鳥です。命を狙う相手にカップルの部屋に泊まっていると偽装。そうとは知らないカップル刺客ロケットランチャーホテルの部屋ごと爆破されます。周囲の人命を軽く扱うのはジェームズ・ボンドにも負けていません。アクション面ではあんまり活躍しませんが、香港の雑踏を歩いたり、名所であるピーク・トラムに乗ったりと、観光案内に貢献しています。

 

代わりに大車輪の活躍をするのは、ショウ・ブラザーズのトップスターだったティ・ロンカンフーの達人としてシャッターを狙う男どもをバッタバッタとなぎ倒します。ヒロイン役は、「ヤング・マスター 師弟出馬」(1980)にも出ていたリリー・リー死に顔がカワイイです。あと、異種格闘技ショーの審判役でリー・ホイサンも出ていました。ナチス将校役が似合うアントン・ディフリングのラスボスぶりも良いですが、ハマープロの名優ピーター・カッシングが少ない出番で強烈な印象を残しています。当初は本作をキッカケにして、殺し屋シャッターと警部ラットウッドのコンビでのTVドラマシリーズを作る構想まであったようですが、ダラダラしたアクション描写を見させられては実現しなかったのも納得。執拗に「シャッター」と女の人が連呼する主題歌だけはやけに耳に残ります。山下毅雄の音楽に似ているなと思いました。