「蛇の道」(2024)

 

セルフリメイク作をグランドシネマサンシャイン池袋で観ました。

 

 

監督・脚本は黒沢清。予告編はコチラ

 

フランスのパリが舞台。中年のおっさんと中年の美女がマンション前で誰かを待ち伏せしています。玄関のオートロックの暗証番号を盗み見してマンションに不法侵入すると、お目当ての男を大胆に拉致。寝袋に入れて車で隠れ家らしき建物に運びます。中年のおっさんはアルベール(ダミアン・ボナール)という男で、8才の愛娘を惨殺した犯人の復讐に燃えています。その手伝いをしているのが中年美女の小夜子(柴咲コウ)で、拉致されたラヴァル(マチュー・アマルリック)という男が殺人事件の容疑者だというわけです。アルベールの娘はある財団が影で行っていた児童売買の餌食になりました。ラヴァルはすでに解散した財団で会計担当をしていたため、真相を知っている有力候補として二人が拉致。鎖につないで自由を奪って、真実を告白させようとするも、自分は何も知らないと訴えます。さらに、首謀者は財団トップのゲラン(グレゴワール・コラン)なのではと言い出したもんですから、だったら、今度はゲランを拉致しようということになります。

 

財団解散後にゲランが余生を過ごしていた田舎の山荘を強襲して、ゲランの友人の猟師の追撃を振り切って拉致することに成功したアルベールと小夜子。建物に連れてきたゲランをラヴァルの隣で鎖につなげます。しかし、ゲランも愛娘の殺人には関与してないと主張したため、真犯人が誰なのか分からない状況が続きます。一方で、小夜子のバックボーンが徐々に明かされていきます。憧れていたフランスの地で心療内科の医師を続けていること。夫らしき人物(青木崇高)は先に帰国しているらしく、たまにビデオチャットでやりとりをしていること。アルベールが小夜子の勤める病院に通ったことがキッカケで協力することになったこと。ただ、アルベールと共犯関係になった真意は謎のまま。やがて、小夜子はアルベールに内緒でラヴァルとゲランにある提案をします。テキトーに犯人をデッチ上げて、そいつを始末して全てを終わりにしようという小夜子の誘いに乗った二人ですが、そこから事態は二転三転して、ついに一連の出来事の真実が明らかになって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は2024年6月14日。1998年に製作された同名映画を黒沢清が26年ぶりにセルフリメイク。フランス側のプロデューサーからの自作リメイクの提案が発端だったそうです。人物設定は変更されているものの、ストーリーの流れはオリジナルを踏襲。舞台が日本からフランスに変更。謎めいた共犯者を男性(哀川翔)から女性(柴咲コウ)に変更されて、映像はリッチになっています。彼女の行動理由はオリジナルよりも詳細に描写。前作になかった夫の存在と病院の患者(西島秀俊)のキャラも追加。殺伐とした不気味さが全編に漂うオリジナルと違って、犯罪に関わりそうにない異国在住の女性が何故に?という関心事が常につきまとう本作には別の味わいがありました。お堅い職業の中年女性を流暢なフランス語で演じる柴咲コウがとても魅力的です。映画が終わりに近づいていって、最後はどうなったかというと・・・、なんとそこから5分くらい不意に眠ってしまって、ハッと目覚めたらエンドロールが流れていました。。。どんな結末だったのか気になりすぎて今は眠れないでいます。無念です。