「文化果つるところ」(1951)

 

コンラッド原作の秘境で自滅する男の話をU-NEXTで観ました。初見。

 

 

監督はキャロル・リード。予告編はありません。

 

南洋の地で荒稼ぎをしている英国商社に勤めているウィレムス(トレヴァー・ハワード)は、酒とギャンブルに明け暮れて社長の娘である妻を顧みない生活を送っています。そんなにイイことは続かず、会社の金を横領していたのがバレて、法で裁かれることに。そこへ昔なじみのリンガード船長(ラルフ・リチャードソン)の船が入港してきます。この船長は身寄りのない子供時代のウィレムスを救ってくれた恩人です。ウィレムスは狂言自殺を試みてリンガードに命乞い。すると、最後のチャンスとばかりにウィレムスを船長が交易地にしている島に連れて行って。更生させようとします。サンビールと呼ばれる島の管理者には船長の養女の家族がいました。娘婿のオルマイヤー(ロバート・モーレイ)幼女の三人が現地民と共に暮らしています。オルマイヤーの下で働かせて、ゆくゆくはウィレムスを島でのビジネスの戦力にと思ったリンガード。母娘は突然の来訪者を歓迎しますが、オルマイヤーは尊大な態度のウィレムスを快く思いません。

 

リンガードが航海に出た後、全く働かずにぐーたらした生活を続けるウィレムス。しょーもない土地だなとぶー垂れていたいたところ、酋長の娘アイサ(ケリマ)を見てビックリ。野性的な美貌に惚れたウィレムスはその日からアイサのケツを追い回します。航路を支配するリンガード船長が交易で利益を独占していることを不満に思う現地民もいて、アラブ商人の手先であるバダヴィ族のババラッチもその一人で、船長しか知らない秘密の航路を見つけて商売独占を阻止しようとしていました。ババラッチはアイサを人質にして船長の秘密の水路を盗み見しているウィレムスに案内させようと画策。一度は拒むウィレムスでしたが、アイサをモノにしたい一心の焦った行動で窮地に陥った腹いせで、ババラッチ側につくことになります。しかし、優勢に立ったアラブ人は現地民を奥地に追っ払って、アイサを手に入れたウィレムスもジャングルでの生活を余儀なくされてしまって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Outcast of the Islands」。"島の追放者"という意味。「落ちた偶像」「第三の男」と立て続けに成功したキャロル・リードが辺境を舞台にしたジョゼフ・コンラッド原作の同名小説を映画化。好き勝手に生きてきた英国人男性が拾ってくれた恩人に助けられた後も現地で好き放題に振舞って、最後はみんなに見捨てられてしまうというだけのお話。撮影地はスリランカ(原作の舞台はボルネオ)。東アジアっぽい顔もあって、いろんな人種を起用してそう。フルチンの男の子たちはスリランカのチビッ子でしょうか。見どころは異国情緒たっぷりの現地映像で、現地民を土人感覚で撮っているところに時代を感じます。主要な現地民は白人俳優が演じていて、エキゾチックな顔立ちのケリマが売りの一つだったらしく、この映画で助監督をしていたガイ・ハミルトンとのちに結婚したとのこと。海外ロケの映像だけで十分に動員力を持っていた頃の映画でございました。も出てます。