「アトラス」(2024)

 

AIと言い争ったり殴り合いしたりする映画をNETFLIXで観ました。

 

 

監督はブラッド・ペイトン。予告編はコチラ

 

28年前に300万人以上の犠牲者を出した反乱を起こして、地球外に逃亡していたAIのハーラン(シム・リウ)の居場所が判明。ハーランの行動を誰よりも正確に分析できる人物として、頭脳明晰な分析官のアトラス・シェパード(ジェニファー・ロペス)がICN(国連のような組織)の軍隊に召集されます。ハーランの逃亡先である惑星に出向いて生け捕りにする作戦を実行する際のアドバイザーという役割。アトラスはAIに対する根深い不信感を持っていて、宇宙船に乗り込んで早々、AIに制御されているシステムを妄信している軍人たちに批判的な視線を浴びせます。バンクス大佐(スターリング・K・ブラウン)に対しても、AIと精神を完全シンクロさせるやり方を批判。彼と言い合いをしていると、突然宇宙船が攻撃されます。ハーランによる奇襲で、宇宙船は爆破メカの中に入らされて脱出に成功したアトラスは、ワケが分からないまま、惑星に降り立ちます

アトラスが搭乗しているメカを制御するAIは、自らをスミスと名乗ります。精神を完全シンクロしましょうというスミスの提案を何度も無視して、文句を言いながら捜索を開始するアトラス。しかし、残りのレンジャー部隊は全滅していて、自分ひとりでハーランを捕まえるしかありません。となると、AIの力を借りざるを得ず、スミスとの精神のシンクロをしぶしぶ同意。シンクロする過程で、ハーランを作ったのはアトラスの母親であること、母親が暴走したハーランに殺されたため、AIに心を許せないでいることが分かります。やがて、ハーランが正体を現します。ICNが所有するイオン爆弾を強奪するために、宇宙船を惑星に誘い込んだことを告白。破壊的な人類を制圧して、AIの正しい力によって地球に新しい平和を実現させようとしているハーラン。そのほうが地球のためのような気がしますが、そうはさせまいと息巻いたアトラスが、AIのスミスとタッグを結成して、ハーランとの殴り合いのケンカに持ち込むのであったが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Atlas」。主演はジェニファー・ロペス。自分がいつまでも若々しくて健康的な美を保ち続けているデキる女であることを、さりげなく、かつ執拗にアピールしたがる彼女が、本作でもその使命を存分に果たしています。暴走して猛威を振るうAIという存在が、暴力的で独善的な男性のメタファーのようで、男性不信・SEX不信の女性が新たな愛を獲得していくラブコメにも見えるストーリー。それなりの予算を投入したCGで作られた宇宙世界という名のリングで、冷たく振舞っても自分を理解しようとしてくれている男の協力を得て、ケンカ別れした元カレをボコボコにして映画は終わりました。ゴチャゴチャした設定と裏腹に直線的でシンプルに展開する分かりやすさがあって、ストレスなく観ることができます。ドウェイン・ジョンソン主演のアクション作品を数本手がけているブラッド・ペイトン監督の持ち味が遺憾なく発揮されているエンタメ作品でございました。