「マッドマックス/サンダードーム」(1985)

 

シリーズで一番目立たない第三弾をひさびさにU-NEXTで観ました。

 

 

監督はジョージ・ミラーとジョージ・オギルヴィー。予告編はコチラ

 

荒野をさすらっていたマックス(メル・ギブソン)飛行機乗りの親子襲われて、乗り物を含めた所有物を奪われてしまいます。泥棒を追跡してトボトボ歩いていると、“バータータウン”という物々交換の街到着俺の腕っぷしを買えと息巻くマックスの度胸を買ったのが、この街を支配する女王アウンティ・エンティティ(ティナ・ターナー)。彼女の地位を脅かそうとする二人組マスター・ブラスターをやっつけてほしいと頼まれます。1対1で決闘を行うための“サンダードーム”での対決に持ち込んだマックスは、二人組の筋肉担当ブラスター衆人環視の下で戦います。なんとか屈服させたマックスがブラスターのお面を取ったら、ブラスターはつぶらな瞳の少年だったため、トドメを刺せません。その弱気な行動が観客やアウンティの不興を買って、「運命のルーレット」が指し示した"死の追放"のペナルティを受けて、砂漠に追放されてしまいます。

 

砂漠で気絶していたマックス助けたのは、サバンナという少女。彼女は子供だけで自立してサバイブしてきた集団の一員で、マックスを長年待ちわびた救世主と勘違いしたもんですから、「そうじゃないよ」とマックスを崇めようとする子供たちやんわりと否定。しばらくして、数人の子供たちが集団を抜け出してバータータウンに向かってしまったため、マックスは他の子供たちと共に後を追います。バータータウンでアウンティの側近アイアンバー(アングリー・アンダーソン)とひと暴れした後、奴隷になっていたマスター囚人のビッグキラーを救出。子供たちも引き連れて、格納されていた列車に乗り込んでバータータウンを脱出することに成功。といっても、敷かれた線路の上を走るため、行き先がバレバレのご一行はアウンティたち追われて生き残りを賭けた最終バトル行方は・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Mad Max Beyond Thunderdome」。"サンダードームを超えて"という意味。「マッドマックス:フュリオサ」を観る前のおさらいということで、劇場公開時以来の視聴。ウチの田舎では「ポリス・アカデミー2 全員出動!」が同時上映で、そっちの満足度の方が高かった記憶あり。過去2作の興奮と比べるとガッカリしたものですが、改めて観ると、コレはコレで、2作目と4作目を繋ぐ役割を持ったクオリティがありました。出番の少ない登場人物にいたるまで細かいキャラ付けがなされている特徴的な人物をにも味方にも配置している点は、このシリーズの秀逸なところ。豚の肥料をエネルギー源としているバータータウンという小さな共同体の完成度も高いです。中盤にあるサンダードームでの決闘とクライマックスの列車vs改造車集団バトル以外の場面がおとなしめで、「グーニーズ」(1985)の雰囲気に近い、可愛らしい冒険物テイストであることが、マッドマックスっぽくないと感じたんだと思われます。

 

(昨年亡くなられた)ティナ・ターナーをボスにキャスティングしている点も、当時としては画期的。IMDBトリビアによると、ジェーン・フォンダやリンゼイ・ワグナーも候補だったとか。黒人女性ロックスターを起用した先見性は素晴らしいです。ただし、絶対生かしておくわけにはいかない非情なラスボスとして設定されてないところが、本作自体の印象の弱さにも繋がっているような気がします。どぎついバイオレンスも足りず、初めてハリウッド資本が入ったことでマイルド仕様になっています。あと、マックスを救った美少女サバンナ(ヘレン・バディ)に一目惚れしたことも思い出しました。2か月間のワークショップで原始的な生活をしたという子供たちの演技も自然でした。で、一番のお気に入りキャラは、能面を上部に付けた鉄の棒をいつも背中に背負っているアイアンバーどんな状況になっても肌身離さずにいて、死ぬ直前まで反逆精神を貫く姿勢も立派でした。バカバカしさを疎かにしないこだわりは素敵です。