「彼女が水着にきがえたら」(1989)

 

ホイチョイ・プロダクションのバブル映画第二弾を観ました。初見。

 

 

監督は馬場康夫。予告編(特報)はコチラ。高島忠夫の解説はコチラ

 

水着でうろついてる二人アパレルメーカー勤務田中真理子(原田知世)と石井恭世(伊藤かずえ)。ある日、山口(伊武雅刀)という怪しいおっさんが所有する相模湾でのクルーザーでスキューバダイビングを楽しんでいたところ、仲間とはぐれてしまいます。そこで海底深くに沈んでいる飛行機の残骸を発見。数十億円相当の宝石と共に墜落して沈んだ軍用機であることを彼女たちは知りません。気づいたら海底35mにいた二人はあわてて海上に復帰。すると、たまたま通りかかった小型クルーザー「ツバメ号」の大塚(谷啓)と吉岡文男(織田裕二)救助されます。彼らは山口とライバル関係で、海底に眠る財宝をどちらが先に探し当てるかを争っています。その情報を知る中国人マフィア(佐藤允)も、お宝を虎視眈々と狙っています。その夜、山口のクルーザーで開催されるパーティーに参加した真理子と恭世。金持ちのボンボン目当ての美女が集まる会場の雰囲気にノリノリの恭世と、場違いな空間に来たことを後悔する真理子。真理子は山口にベッドに誘われて逃げ回ります。そのピンチを救ったのが、またしても大塚と文男。

 

小型ボートで突然現れて二人を連れ去ると、獲物を奪われた山口たちもジェットスキーで追跡。大塚たちがたむろしているクラブ・ヒッチに逃げ込んだ真理子と恭世は、店の壁に掛けられた飛行機の写真を見てビックリ。ダイビング中にこの飛行機を見たと言う二人の言葉を聞いて、ツバメ号のクルーはさらにビックリ。同じ店にいた山口も同じくビックリ。彼らは真理子と恭世を問い詰めて、飛行機が沈んでいる地点を聞き出そうと躍起になります。同時に、文男は可憐な真理子に恋心を抱きます。一方の真理子も、二度も助けてくれた文男に好感を持ちますが、ナンパする山口に逃げ惑う女を救うことが週末恒例の彼らのお遊びだと知って不快感を持った様子。女好きの大塚は文男の思いに気づいて、今度こそお宝(真理子)をゲットしろよと盛んにけしかけます。ここから、大塚一派と山口一派の情報源となる真理子と恭世の争奪戦が勃発。噂を聞きつけた中国人マフィアも介入しての宝石奪還バトルが繰り広げられます。誰がお宝をゲットするのか、そして、文男と真理子恋の行方は・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1989年6月10日。前作の音楽がユーミンなら、次はサザンだということで、海を舞台にしたバブル期に浮かれた連中たちのストーリーが展開。配給収入8億円のヒット。『さよならベイビー』が書き下ろしの主題歌で、サザン音楽のPVとしての魅力はバッチリ。軽薄な空気がありつつも純朴な二人の不器用な恋模様が清々しかった前作に比べて、本作はC調な方向にかなり振り切っています。クルーザー、ジェットスキー、小型ボート、潜水艇、ヘリコプターといった豪勢な乗り物がたくさん出てきて、そこそこ迫力やスリルのあるリアルなスタントシーンも盛りだくさん。恋愛ストーリーの方はというと、真理子演じる原田知世の清楚な雰囲気は相変わらずなんだけど、文男演じる織田裕二のお調子者ぶりと生真面目ぶりのバランスがあいまいで、二人が最終的に結ばれてほしいという気持ちがちょっと起きづらいです。とはいえ、親近感ある主人公像としては、ドンピシャのキャスティング。水着にきがえた原田知世シーンが少ないのは大いに不満です。

 

ハタから見るとバカバカしいことしかやってない連中だけど、マジになるところではカッコ良く感じさせる見せ方に失敗していて、荒唐無稽な争奪戦コメディとしても、ロマンティックコメディとしても、洗練度が低い野暮ったい仕上がりになってるのが残念。それでも、旧来の映画人が作るよりも遊びをかじっている人たちが作っている分だけ、チャラさにリアリティを感じます。なお、海に眠るお宝を探す設定や、おじさんの大塚と若造の文男のコンビに大塚に惹かれている裕子(田中美佐子)という美女を配置させてるところは「冒険者たち」(1967)を意識してのものだと思われます。サブキャラ扱いの田中美佐子の艶っぽさに最も目を奪われたかも。竹内力(ツバメ号クルーの好青年)白竜(クラブ・ヒッチのさわやかマスター)といった役者さんたちの現在とは違うキャラも注目ポイント。で、一番スゴかったのは、エンドロールで流れるタイアップ企業の数々。出演者やスタッフ以上に数多く並ぶ姿にバブルを感じました。