アンヌ・パリロー主演の吸血鬼コメディをU-NEXTで観ました。初見。
監督はジョン・ランディス。予告編はコチラ。
真冬のピッツバーグが舞台。全裸で自宅をうろついている吸血鬼マリー(アンヌ・パリロー)は新しい血を求めていました。狙いをつけたのは、街を牛耳るボスのサル(ロバート・ロッジア)が率いるイタリアンマフィアの血。最初に出会った子分のジョー(アンソニー・ラパグリア)はイケメンのタイプで好きになってしまいそうだったので、獲物と仲良くしてはいけないという第一の掟を守るためにパス。次に出会ったトニー(チャズ・パルミンテリ)を誰もいない公園に誘い込んで、血を吸い尽くします。首に嚙みついた後を消すために顔はショットガンで破壊。ごちそうはキレイに後始末するのが第二の掟です。ある夜、メインディッシュのサルに近づいて自宅に誘われたマリー。不意討ちで苦手なニンニク料理を目の前に差し出されて焦ったマリー。ヤル気マンマンのサルに嚙みついて血を吸い尽くすも、致命傷を負わせることに失敗。銃で腹部を撃たれるも、頭を撃たれない限りは死なないので、いったんその場を立ち去ります。
ジョーはマフィアに潜入していた囮捜査官でした。ジョーが逃げるマリーを捕まえようとして失敗していた頃、検死室に運ばれていたサルが息を吹き返して逃走。マリーは殺し損ねたサルを追跡。ジョーも巻き込まれて行動を共にします。血に飢えているサルは顧問弁護士宅に侵入して、弁護士にかぶりついて血を補充。騒動の原因となったジョーを捕まえて殺そうとしたところをマリーが助けにやって来ます。夜が明けると活動ができなくなるマリーはジョーと一緒にモーテルに宿泊。ジョーを好きなマリーが誘惑すると、噛みつかれる恐怖よりも性欲が上回ったジョーはベッドイン。一方、自分が不死身になったことを知ったサルは子分たちを次々と吸血鬼にしていって、ゾンビマフィア軍団を築こうとしていました。悪党を吸血鬼としてのさばらせるわけにはいかないマリーはジョーと共闘して最終決戦に臨むのであったが・・・というのが大まかなあらすじ。
原題は「Innocent Blood」。もともとは、ジャック・ショルダー監督、デニス・ホッパー、ララ・フリン・ボイル共演の企画だったようですが、監督がコミカルなホラーに定評のあるジョン・ランディスになって、主演は「ニキータ」(1990)のヒットで注目されてハリウッドに進出第一弾となるアンヌ・パリローに変更。いきなりスレンダーなボディを披露してくれるので、映画のデキが多少悪くてもガマンできます。悪党の血が欲しくてマフィアを狙う女吸血鬼と潜入捜査官が恋に落ちるロマンス要素もあり、血を吸われてゾンビ吸血鬼と化したマフィアのボスが部下を吸血鬼にしていくコメディ要素もあり、ユニークなラブコメホラーになりそうなのに、それほど面白くない仕上がりになっていました。死なないボスになって暴れ回るロバート・ロッジアが影の主役といっていいくらいにノリノリで演じています。デニス・ホッパーが演じるのを観てみたかったですね。
吸血鬼絡みの特殊メイクはかなりのクオリティで、日差しを浴びて炎上するシーンは見どころのひとつ。知り合いを出演させるのが大好きなジョン・ランディスということで、本作でもダリオ・アルジェント、フランク・オズ、サム・ライミ、トム・サヴィーニ、マイケル・リッチー、「バタリアン」のリネア・クイグリーといった映画人をカメオ出演させています。「原子怪獣現わる」(1953)や「魔人ドラキュラ」(1931)、「吸血鬼ドラキュラ」(1958)などをTVで観ているシーンが登場するのもジャンル映画好きのランディスらしいお遊び。そもそも、舞台をピッツバーグにしているのは、ジョージ・A・ロメロへのリスペクトなのかな。あと、いつもはコワモテで周囲をビビらせるルイス・ガスマンが吸血鬼に怯える刑事役なのはちょっと可笑かったです。映画の結末はというと、火だるまになったサルを倒した二人が一緒に暮らすことを暗示して終わるハッピーエンドでございました。