「パピヨンの贈りもの」(2002)

 

老人と少女によるハートウォーミングストーリーをU-NEXTで観ました。初見。

 

 

監督はフィリップ・ミュイル。予告編はコチラ

 

パリのアパートで一人暮らしをしている老人ジュリアン(ミシェル・セロー)は、時計職人を引退して、悠々自適な生活をしています。最近、上の階に新しい住人が引っ越してきたみたいで、ドタバタうるさいのをちょっと迷惑に感じています。どうやら母子家庭の母娘二人組のようで、看護助手で忙しく働くママ(ナード・デュー)になかなか構ってもらえず、8才のエルザ(クレール・ブアニッシュ)はいつもママの帰りを待って、寂しそうにしていますカフェでずっと待ってるエルザを見かねて、時間つぶしに自宅に招き入れたジュリアン。ジュリアンの蝶のコレクションに興味津々で目を輝かせるエルザ。ジュリアンには、幻の蝶といわれる"イザベル"を手にするという老後の夢があります。

 

ある日、南部の山奥にイザベルが現れると聞いたジュリアンが、居ても立っても居られずにキャンプの準備をして車で出発。その様子を見ていたエルザがこっそり車の中に隠れて同行していたんでビックリ。気がついたのは現地付近のホテルに着いた夜。エルザのママが外出で連絡がつかないため、翌朝警察に連れて行こうとしますが、動物を見てみたいと言うエルザの訴えにほだされて、イヤイヤながら二人で山を登ることにします。質問責めをするエルザをうざがりつつも、いちいち答えるジュリアン。行く先々で他の登山客地元の人と交流があったり、自然の動物に出会ったりしていく二人。一方で、娘がいなくなったママが警察に捜索願いを出して、TVニュースでも扱われる事態に発展していて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Le Papillon」。豊かな自然バック老人と少女の凸凹コンビ友情を育んでいく心温まる系のほのぼの映画で、確実にほっこりさせてくれます。子供と別れてしまったジュリアンに老後の孤独を、ママとゆっくり過ごせないでいるエルザにシングルマザーの大変さといった社会背景を仄かに感じさせてもいて、しんみりさせる要素も兼ね備えている万全の体制。知ってる俳優さんは頑固ジジイ役のミシェル・セローのみ。流れ星を見ながら「流れ星は神様の抜け毛だ」とエルザに語ったり、花粉を運ぶ蝶々のことを「郵便屋さん?」と尋ねるエルザに「恋文しか運ばないよ」と添えたり、ちょいちょいエスプリが利いてるところがおフランスらしく、奥行きのある老人像を好演しています。

 

そして、おませなエルザがひたすらキュート。セックスや中絶といったワードを浴びせたり、「恋に落ちるじゃなくて、恋に上がるって言った方がいいのに」とつぶやいて、ジュリアンを困らせます。エディット・ピアフが最もビッグなシンガーだとママに教わったので、一番背の高い人だと思っているところがカワイイです。そのママがキレイなのも良し。イザベルが出現した夜に二人がケンカしてから、話は急展開。なんやかんやあってジュリアンが逮捕される流れになりますが、その後、ちゃんとハッピーエンド待っています。終盤の"イザベル"をめぐるやりとりもニンマリとさせてくれるし、二人がデュエットするシャンソン曲『パピヨン』が流れるエンドクレジットのダメ押しも素敵だし、二人のやりとりをあと5時間くらいは観ていられる映画でございました。