「ザ・ベーカー:男の逆襲」(2022)

 

孫を連れたロン・パールマンがギャングに復讐するアクションをU-NEXTで観ました。

 

 

監督はジョナサン・ソボル。予告編はコチラ

 

パン屋を営むゴツイ顔のじいさんのパピ(ロン・パールマン)。孤独な一人暮らしで夜はいつも悪夢で目を覚ましています。ある日、疎遠だった息子ピーター(ジョエル・デヴィッド・ムーア)が孫娘デルフィー(エマ・ホー)を連れてパン屋を訪れて、取引に行ってる間だけ孫を預かってほしいとだけ言い残して去っていきます。一言も口を聞かないデルフィーに戸惑うパピ。ピーターは空港の駐車場で麻薬取引をしている犯罪者たちが殺し合いの末に全滅したのを目撃。現場に落ちていた大量の麻薬が入ったリュックサックを持ち逃げして、麻薬を売りさばこうとしていたのでした。しばらくして、ピーターから連絡が来ますが、デルフィーの好きなモノをいくつか伝えるのを聞いた後、電話口から銃声が聞こえます。ピーターの家にギャングの手下が現れて、死を覚悟したピーターが殺される直前に電話をかけていた模様。

 

デルフィーのバッグから大量の麻薬を発見したパピは、息子が面倒に巻き込まれたことを察します。で、大きなコッペパンに麻薬を隠して、パン屋のバンで出発進行。デルフィーと一緒にピーターの自宅を訪れると、ピーターの姿はなし。妻を亡くしたピーターがデルフィーを1人で育てていたこと、妻の交通事故のショック以来、デルフィーが無言になったことを隣人から聞き出します。そして、警察に被害届を出した後、死体安置所に侵入。空港駐車場で発見された死体を見たパピは、息子が空港に行ったことをメモした手帳のことを思い出して、その死体にある傷口や注射痕から抗争の内容を推測。下っ端の麻薬の売人への聞き込みからボス(ハーヴェイ・カイテル)の存在を割り出します。無くした麻薬の行方を追うボス側も自称パン屋のジジイが嗅ぎ回っていることを知って、全面対決となっていき・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「The Baker」。"パン屋"です。子連れ狼ならぬ、孫連れパールマン。目新しさは何もないアクション物。パールマンも老人。敵のボスも老人。その右腕となる手下のヴィク(イライアス・コティーズ)もハゲの老人。ただ、ロン・パールマンハーヴェイ・カイテルと対決するということだけで観る価値はあります。実際、地味ながら手堅い作りで魅せる激シブ映画。実は、スゴ腕の軍人だった過去を持つパピが、足手まといになる孫娘を引き連れてパンのコネ棒も武器にしながら関係者を1人ずつ始末していきます。終始無口な孫に「将来、男を幸せにできるぞ」と、根拠のない予言をするパピ。さらに「これから残酷なことが起きる。その時はゴーグルをかけて(視界を閉じて)大音量で音楽を鳴らせ。」と孫に諭します。初対面の無骨なジジイに戸惑いつつも、片方のライトが点滅しなくなったスニーカーこっそり直してくれる優しさに触れて、徐々に懐いていくデルフィー

 

商品のパンを盗み食いするヤンチャなところもあるデルフィーは、ピンチ時機転を利かした行動力でパピを助ける一面も。麻薬組織の刺客に襲われた痛みで気絶したパピが入院すると、警察側の内通者から連絡をもらった組織がさらなる刺客を投入。老体にムチ打って撃退するパピ。病院を出た後に手下を始末して、最後はラスボスを退治しに行くのかと思いきや・・・、ネタバレになりますが、パピとボスは軍人時代の知り合いだということが判明して、麻薬を返納したことでお咎めなしのケンカ両成敗。ただのじいさんと孫娘の関係となった二人がどこかに旅するところで映画は終わります。もちろん、最後に言葉を発するデルフィーに驚くパピのシーンは用意されています。エンドクレジット中にちょっとしたサプライズもあり。午後ローで放送したら、最上位クラスの面白さを感じるであろう家族愛あふれる良作でございました。