「サンクスギビング」(2023)

 

感謝祭に起こる惨劇をU-NEXTで観ました。

 

 

監督はイーライ・ロス。予告編はコチラ

 

マサチューセッツ州プリマス。感謝祭当日の地元スーパー「ライトマート」の入り口付近には、ブラックフライデーのセールで先着100名にプレゼントされるワッフルメーカー目当ての客が開店を今か今かと待ち構えています。開店10分前に店長を含めた高校生グループが店内に入っていくのを見て、えこひいきだと感じた客が暴徒化。開店を待たずして、従業員の制止を振り切った客が、入り口ドアの窓ガラスをブチ破って店に侵入。ごった返す店内は無法状態と化して、下敷きになった客などが無残な死を遂げる事態が発生。そんなくだらないキッカケで起きた事件がのちの惨劇の発端になります。事件現場を映していたはずの防犯カメラが故障していたと店側が虚偽報告をしたことにより、事件の詳細は分からずじまいで、事故扱いで誰にもお咎めなし。その1年後。ライトマートは再びブラックフライデーセールの準備を進めていました。

 

店長の娘ジェシカの恋人高校野球のエースだったボビーは、あの日の事故で右手を踏みつぶされて野球生命を絶たれて以来、行方不明のまま。アメフトのスター選手やチアガールのカップルなど、あの時と同じ仲間と過ごしているジェシカはオタクのライアンを新しい彼氏にしています。ダイナーで仲間と談笑していた時、ボビーらしき後ろ姿を見るジェシカ。時を同じくして、事件当時に店内で狂乱騒ぎを演じた客の一人だったおばさん惨殺死体で発見されます。犯行現場付近の防犯カメラにはマスクを被った男の姿がありました。その後、ジェシカたち高校生グループのケータイに、殺人予告のメッセージが届きます。担当保安官エリック(パトリック・デンプシー)は、1年前の事故で恨みを持った者の犯行と断定して捜査を開始。感謝祭イベントに沸くなかで、警察は厳重警備体制を敷きますが、関係者はマスクの男に次々と殺されていって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Thanksgiving」。「グラインドハウス」(2007)で上映されたフェイク予告編の架空の映画をホントに映像化した一品。別に欲しくもない景品目当てにスーパーに群がるバカたちが引き起こす序盤の殺戮シーンで、主役を演じてもおかしくないジーナ・ガーションがいきなり酷い目に遭いますコミカル味のある殺された方のバリエーションで楽しませるのが本作の見どころ。痛いのが苦手な私には刺激が強め。運動神経バツグンのスクールカースト上位者餌食になるのも、この手の映画の王道。ただ、主人公となる女子高生ジェシカもオトコを天秤にかけるズルさがあるし、オタクの男子も誠実さに欠けるところがあって、最後まで生き残るキャラなのかどうか分かりません。悲しい殺人動機がある意外な犯人像の種明かしはオーソドックス。事件解決後にあるオマケの一幕も良し。懐かしのスラッシャー映画の手順を丁寧に踏む姿勢に先人へのリスペクトを感じる安定の面白さでした。