「燃える男/マイ・ボディガード」(1987)

 

スコット・グレンが少女を助けるお話をU-NEXTで観ました。初見。

 

 

監督はエリ・シュラキ。予告編はコチラ

 

裕福な家庭の子供は誘拐されがちなイタリア。バレット家も愛娘を守るためにボディガードを雇います。かわいいサマンサ(ジェイド・マル)のボディガードになったのは、元CIA工作員のクリスチャン・クリーシー(スコット・グレン)。暗い過去を背負っている陰気なおっさんです。豪邸に着いたらガキの護衛だと聞かされて、依頼人の友人のデヴィッド(ジョー・ペシ)に文句の電話を入れるも、後任が見つかるまで渋々引き受けることに。思春期で好奇心旺盛のサマンサは無口なクリーシーに興味を示してずっと質問責め。最初は黙って学校への送り迎えをしていたクリーシーは、サマンサの純真さに折れて次第に打ち解けていきます。後任が決まったという連絡を却下して、両親が不在で寂しいサマンサの親代わりになって過ごすうちに、デヴィッドの結婚式二人で参加するまでの仲良しになります。

 

しかし、結婚式の帰りに同乗していた車をマフィアの一味が襲撃。サマンサは誘拐されて、銃撃を受けたクリーシーは瀕死の重傷を負います。しばらくして、病院で意識を取り戻したクリーシー。バレット家には誘拐されたサマンサの身代金を要求する脅迫電話が来ていて、主人(ジョナサン・プライス)が警察と今後の対応を検討中。カンタンに金を渡すとサマンサは殺されてしまうため、犯人の出方をうかがう膠着状態が続いていました。容疑者候補の写真を警察に見せられても犯人の目星がつかないクリーシーは、サマンサを守れなかった自責の念が爆発して病床で悲痛の叫びを発します。やがて、退院したクリーシーは事件を解決できないでいる警察とは別に動き出します。サマンサを救い出すために必要な武器をデヴィッドに調達してもらって、誘拐犯たちを1人ずつ粛清していく・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Man on Fire」。A・J・クィネルの同名小説が原作で、2004年にリメイクされた作品と英題は同じ。スコット・グレン大切な少女のために満身創痍闘うオジサン渋く熱演愛読書(「二十日鼠と人間」)まで同じになったサマンサと通じ合う中盤から暗転する展開が切ないです。脇役陣も渋め。ほとんどセリフのないジョナサン・プライスはさておき、親友思いの温和な性格かと思ったら劇中で2度ブチ切れるジョー・ペシがいつものジョー・ペシでした。クリーシーと同様にPTSDを抱えているため、自分の結婚式で弾き語りで歌ってるうちにキレていく場面がコワイです。そして、誘拐実行犯の現場責任者役のダニー・アイエロ。彼すらも組織ぐるみで犯行を重ねているマフィアの手下の一人でしかないところにイタリアの誘拐犯罪の根深さを感じさせます。

 

以下はネタバレ。原作では、誘拐された少女は犯人たちに凌辱されて殺されるようです。誘拐系の映画を避ける理由は、そんな胸糞悪い話をフィクションでも観たくないから。。。本作では監禁場所にたどり着いたクリーシーが犯人から銃弾を受けつつもサマンサを救出。ただ、ダニー・アイエロ演じる悪党が拉致しているサマンサに手を出したと思わせるやりとりを劇中で匂わせていて、トラウマを抱えて戻って来たサマンサは静かな土地で療養することになります。クリーシーは救出後に死んだと公表されますが、実は別のIDを与えられて生きる(のちに傭兵として活躍していく小説シリーズが続く)ことに。穏やかに暮らすサマンサをお見舞いに行くシーンで映画は終わります。結末を変えてるらしいトニー・スコットによるリメイク版もいずれ観てみようと思います。