「香港秘令0号」(1960)

 

日活フィルムノワールの小品をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督は吉村廉。予告編はありません。

 

贋札造りの罪で逮捕された井原(水島道太郎)が、護送中に同乗していた囚人山川(木浦佑三)の手引きで脱走。堀尾組の拠点キャバレー・シカゴに現れて、若ハゲのボスの堀尾(大滝秀治)から弟分の雄二が行方不明であることを聞きます。雄二は井原から贋札の原版を預かっていました。香港のギャング組織へ期限までに原版を返さないと、"秘令0号"によって抹殺されてしまいます。原版を我が物にするために井原を殺そうとする堀尾組の刺客を撃退したのは、脱走仲間の山川。ずっと付きまとう山川をうざがる井原。雄二の恋人を訪ねるとアパートで死体になっていて警察が現場から逃げる井原を追ってる時に匿ったのは、またもや山川

 

しばらくすると、堀尾に捕まった雄二も殺されます。全てを井原の犯行に見せかけて警察に逮捕させようとする堀尾組は、井原の恋人で雄二の姉でもある美奈子(香月美奈子)も拉致します。彼女の自宅に隠された原版を見つけた井原はキャバレー・シカゴに乗り込んで銃撃戦の末、美奈子を救出。この時、助っ人に来たのは、やっぱり山川堀尾を射殺した後、指定された下水道に山川と一緒に行って贋札の原版を香港ギャングに返却すると、ギャングのボスのブラウンから山川が刑事であることをバラされます。山川を撃つことができない井原ブラウンに撃たれます。しかし、ブラウンを撃って井原を救ったのは、みなさんご存じの山川で・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1960年3月16日。"秘令0号"とは、裏切り者の処刑を意味するコードネームのこと。46分間の上映時間で小気味良く展開するクライムアクション。地味な顔をして命懸けの山川刑事が大活躍。わざと脱走させて犯人を泳がす日本の警察らしからぬ手段で、香港偽札組織摘発を成し遂げる山川。公務員の鑑です。戦前からスターとして活躍していた水島道太郎のニヒルな犯罪者像がノワールの雰囲気にフィット。冷酷無比な日本側組織のボスは若々しい大滝秀治。香港のボスは海外出張でわざわざ日本の下水道にまで出向いた挙げ句に死亡。援護する手下もたった一人で、なんだか可哀想でした。育毛剤「ミクロゲン・パスタ」のタイアップも光る低予算映画の佳作でございました。