「チャンピオンズ」(2023)

 

「だれもが愛しいチャンピオン」のハリウッド版リメイクをU-NEXTで観ました。

 

 

ファレリー兄弟のボビーが初監督。予告編はコチラ

 

アイオワ州のマイナーリーグのバスケチームでコーチをしているマーカス・マラコヴィッチ(ウディ・ハレルソン)は有能なのに短気なのが玉に瑕。試合中に監督(アーニー・ハドソン)を突き飛ばしてクビ。デートアプリで知り合った美熟女と一夜を共にするも、翌朝フラれます。さらに、飲酒運転で逮捕されて社会奉仕活動を命ぜられる災難続き。活動内容は90日間の知的障がいを持つ選手たちのバスケチームのコーチ業。NBAでのコーチの夢は、はるかかなたに遠のきます。嫌々ながら"ザ・フレンズ"というバスケチームの練習場に顔を出すとうだつの上がらないメンバーが待ち受けていました。奇行に走る者、完全無視を決め込む者。自分の知識を一方的にまくしたてる者といった個性的な面々ばかり。ひとまず初日の練習を終えると、チーム管理者のフリオ(チーチ・マリン)から、あなたは90日間やり遂げるよと励まされます。歩いて自宅に帰ろうとしていると、心優しいチームメンバーのジョニーが姉が運転する車に乗せてくれますが、運転していた姉は、先日フラれたばかりのアレックス(ケイトリン・オルソン)でした。

 

根気よくチームを教えていくと、メンバーのプレイは少し上達。ひとりひとりの人柄を知るにつれて、マーカスの指導も熱が入ってきます。遠征試合のために乗った公共バスで他の乗客者から冷たい視線を浴びた時も、メンバー達の側に立って優しくフォローするようになったマーカス。自分勝手な性格が変わっていくと同時にメンバーからの信頼も得ていきます。飲酒運転が原因で脳に障がいを持つことになった青年も、マーカスを無視するのをやめてメンバー入りしてくれました。運転手を買って出てくれたアレックスとの恋模様は依然として行ったり来たり。そして、初勝利を挙げて以来、軌道に乗ったチームはあれよあれよという間にリーグ戦の決勝戦出場の切符を手にします。試合会場はカナダのウィニペグ。しかし、貧乏チームゆえに遠征費用がありません。そこで、職場で差別を受けてクビになったチームメイトのベニーに代わって、非合法的に雇用主を脅迫して賠償金を手に入れたチームはいざカナダへと乗り込んで・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Champions」。スペイン映画のリメイクで、ハンディキャップを持つ人間にフラットな視線を向けてバカバカしいコメディを作り続けているファレリー兄弟の弟ボビーは単独での監督は本作が初めて。主演は「キングピン/ストライクへの道」(1996)でもコンビを組んでいたウディ・ハレルソン。ダメな中年男を手堅く演じています。ストーリー自体はオリジナルをおおよそ踏襲。オリジナルでは主人公が離婚寸前の夫婦だった設定を、障がいを持ったジョニーの姉との恋愛関係に変えていたのは良い改変かも。映画の結末はというと、試合終了まであと8秒のところでタイムアウト。ビハインドは1点。作戦会議でジョニーの得意技で勝負を賭けることをメンバーに伝えます。作戦は見事成功かと思ったところで、バックシュートしか打たないショータイムにパスしてしまって・・・という展開。個々のキャラのアクの強さや人物描写の丁寧さはオリジナルの方に分があるかなと思いつつも、本作も一定レベルの楽しさは保証できる内容でございました。