「空中サーカス 嵐を呼ぶ猛獣」(1958)

 

高倉健がサーカスのブランコ乗りを演じる映画をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督は同年の「曲馬団の娘」も撮っている小石栄一。予告編はありません。

 

船乗りの山崎千吉(高倉健)が港近くのバーでサーカス団員と大ゲンカ。5年前にブランコ事故で相棒をケガさせてしまって以来、サーカスを去って酒に溺れた生活をしている様子。その噂を聞きつけた団長(進藤英太郎)スカウト。千吉はシバタサーカスに臨時入団して、盲腸で休演のブランコ乗りのスター健次(植村謙二郎)の代役をすることに。パートナーの政代(故里やよい)と息の合った空中プレイを見せて、団員たちの支持を集める千吉に嫉妬心がメラメラと燃える健次。健次に惚れている政代は気が気じゃありません。一方、一座の花形歌手のエミ(佐久間良子)は千吉に憎しみを抱いていました。彼女はかつてブランコ事故を起こした三郎(今井俊二)の妹で、兄を不幸にした仇だと思っています。ブランコ乗りに興味を示すエミに声をかけても、敵意むき出しの素振りを不審に思う千吉。しかし、女好きの健次に襲われそうになったところを助けてもらってから、千吉への想いに変化が生じていくエミ。

 

しばらくして、ムシャクシャした健次がライオンを檻から出して、練習中の団員たちをパニックにさせる騒ぎが発生。その窮地を救ったのも千吉で、居場所がなくなった健次はサーカスをクビになってしまいます。千秋楽前日、エミは故郷で農業をしている兄三郎を訪ねて、ブランコ事故は兄のミスが原因だったことを知ります。後を追ってきた千吉と見つめ合って抱き合う二人。千秋楽で披露する大技の特訓に励みます。ここでまた健次が登場。夜中にこっそりサーカスのテントに潜入。ブランコのロープに傷をつけて明日の本番で落下させようと企みます。いよいよ本番。目隠ししたままでブランコに乗る曲芸を新パートナーのエミと披露する千吉。終了直後にロープは切れますが、咄嗟の判断で事なきを得た千吉。観衆は大盛り上がりのまま、興行は大成功。犯人の健次も大格闘の末に千吉が捕まえてサーカス一行はまた次の町へと旅立っていく・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1958年8月12日。「旗本退屈男」の併映作品。空中、嵐、猛獣と賑やかなワードで観客の興味をそそるタイトル。猛獣が嵐を呼ぶ展開にはなりません。盲腸になったせいでスターの座を奪われそうになる植村謙二郎の度を超したイタズラだけで物語は進んでいきます。嵐を呼ぶ盲腸。見どころはブルマ姿タイツ姿を見せる高倉健。逆立ち姿の健さんもレア。相手役が佐久間良子というのも珍しいです。サービスショットもあり。歌声は口パクで、唄っているのは大津美子。飛び入り参加で歌を披露する近所の少女役で松島トモ子、千吉に目隠しブランコを伝授するサーカスのベテラン団員役で河野秋武笑いを取る道化師役でトニー谷などが共演。団長の娘役の中村雅子が高倉健と佐久間良子の真ん中にクレジットされる扱いでした。ちなみに、この映画のスタッフロール東宝映画でよく見る書体。東映で見たのは初めてかも。特徴的な手書きの主が誰なのか、昔から気になっていますがネットで調べても判明せず。分かる人がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。