「女の賭場」(1966)

 

大映の江波杏子主演シリーズ第一弾をYouTubeで観ました。初見。

 

 

監督は田中重雄。予告編はコチラ期間限定無料配信中です。

 

関東の親分衆を集めた賭場イカサマがバレてしまった辰造(水原浩一)見破ったのは香取組代貸の立花(渡辺文雄)。その夜、娘アキ(江波杏子)が女将をしている小料理屋に立ち寄って、辰造は自殺を遂げます。一方の立花は親分衆から度胸の良さを認められて、立花組を結成。関東侠勇会の幹部としてグイグイと頭角を現していきます。父を失った後、気のいい板前陽気な女給(桜京美)辰造の弟子だった政吉(川津祐介)に支えられながら小料理屋をなんとか切り盛りするアキ。父譲りの胴師の腕前を封印して、サラリーマンの恋人守屋(南廣)と近いうちに結婚してささやかな幸せを掴もうとしています。そこに絡んできたのが立花。胴師に戻って自分のオンナになるようにしつこく勧誘します。アキ本人は断固拒絶するも、弟の広志(酒井修)羽振りの良い立花に憧れてグレ始めます。

 

さらに、恋人守屋が不在のアパートにいるアキに襲いかかる立花ベッドにいる現場を見て誤解した守屋はアキと距離を置きます。小料理屋でひとり悲しみにくれるアキ。やがて、心のどこかで父のイカサマ事件に疑念を持っていたアキは、イカサマのパートナーだった塚田から、父を陥れるように立花が仕組んだワナであった事実を聞きます。真相を知られた立花は塚田を殺害。片棒を担がれそうになった弟広志は立花の裏の顔を知って反省。恋人守屋もアキの一途な思いを信じられなかった自分を後悔。父の無念を晴らしたいアキは父が嵌められたイカサマで立花を倒す作戦を計画。政吉の猛特訓を受けてイカサマ技術を習得します。そして、関東侠勇会主催の花会胴師を務めることになったアキは、賭場に訪れた立花に渾身のイカサマ勝負を仕掛けるのであったが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1966年11月26日。同時上映は田宮二郎主演の「野良犬」。ズル賢い新興ヤクザに翻弄される昔気質の侠客の血を引くオンナを描いたシンプルな任侠モノ。若尾文子が断ったことで、当時24才の江波杏子に主演の座が回ってきたと言われています。目鼻立ちのクッキリしたクールビューティーさが平凡な出来栄えの映画の中で際立っていて、シリーズ化されたのも納得。スーツ姿の渡辺文雄洋風のクラブも経営するモダンなヤクザで金持ちな人物像。アキにひそかに想いを寄せていて、義地人情を重んじる昔ながらの侠客を演じる着物姿の川津祐介慎ましい暮らしぶりと対照的で、戦前と戦後の日本のコントラストにもなっています。ラグビーの試合シーンのある任侠映画というのはレア。劇中でのバトルがほとんどなく、討ち入りとは違う形で決着をつけるクライマックスも新鮮。あと、木漏れ日があふれる神社の境内を歩く姿で終わるラストシーンがとてもキレイでした。