「サラリーマン忠臣蔵」(1960)

 

社長シリーズ版の忠臣蔵を観ました。初見。

 

 

監督は杉江敏男。予告編はコチラ

 

丸菱財閥傘下の赤穂産業社長の浅野卓也(池部良)は財閥主催のアメリカ経済使節団を明後日に控えて、グループ企業社長たちで結成された接待メンバー会議に参加。その会議で丸菱銀行頭取吉良剛之介(東野英治郎)が若狭金属桃井社長(三船敏郎)と一触即発の大ゲンカ。若狭金属角川専務(志村喬)の根回しで事を丸く収めたものの、使節団到着当日に別の事件が勃発。レセプション会場の松のロビーで、吉良頭取に浅野社長が暴力を振るったため、財閥グループ内で謹慎処分を受けます。さらに、傷心の浅野社長がムシャクシャしてドライブしてる時に自動車事故で急死。お気に入りの芸者の加代次(新珠三千代)浅野社長の恋人であることを知った吉良頭取の嫉妬心から、浅野社長を侮辱したことが暴力沙汰の原因でした。

 

突然の訃報を聞いて、社長代行でヨーロッパ出張中だった大石良雄専務(森繁久彌)が緊急帰国。やがて、赤穂産業の新体制が発表されます。後任社長は吉良頭取となって、社内の状況は一変。小飼いの伴内社長秘書(山茶花究)を引き連れた吉良新社長は社内改革を断行。小野寺部長(加東大介)ら社長一派を左遷。これまでの社風を全否定するやり方に一部社員は猛反発。社長秘書の早野勘寛平(宝田明)は辞表を提出。大石専務の息子で平社員の力(夏木陽介)大野常務(有島一郎)の娘小奈美(団令子)との縁談は、吉良新社長になびいた大野常務の判断でご破算に。そして、前社長の念願だった海外企業との大型契約を破棄するように吉良新社長から通告されるにいたって、大石専務は新社長就任披露の宴席で、旧社長一派の社員と共に吉良新社長に辞表を叩きつけるのであった・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1960年12月25日。同時上映は「サザエさんとエプロンおばさん」。"東宝サラリーマン映画100本記念作品"として製作されました。社長シリーズのノリと忠臣蔵をミックスさせた内容。非モテじじいの妬みと不慮の事故死がキッカケになる設定は少し強引。早野勘平の恋人で専務秘書の寺岡軽子役で司葉子軽子の兄で専務の運転手寺岡平太郎役で小林桂樹、大石専務夫人役で久慈あさみ、バー「祇園」マダム才子役で草笛光子といった社長シリーズでおなじみの俳優も出演。シリーズ常連の三木のり平とフランキー堺といった芸達者が不在なのはちょっと残念。ほかに、新社長体制後に営業係長として転職してくる大石常務のバカ息子役で三橋達也、そば屋のオヤジ役で柳家金語楼、エレベーターガール社員の堀部安子役で中島そのみも出演。本作では大石専務が吉良新社長に反旗を翻して、新会社設立の啖呵を切るところまでを描いています。宴会での余興として、討ち入り風の恰好で踊りながら吉良に真剣突きつけるところがクライマックスで、続編に続きます。