「コマンドーニンジャ」(2018)

 

1980年代アクション映画オマージュ満載のフランス産インディーズ映画をU-NEXTで観ました。

 

 

監督はベンジャミン・コンブ。予告編はコチラ

 

1968年のベトナム奥地に潜伏しているアメリカ精鋭部隊プレデター並みの擬態能力を持つニンジャ軍団奇襲を受けて壊滅。隊長のジョン・ハンター(エリック・カルレシ)は捕虜となった収容所で所長に執拗な拷問を受けます。拷問の合間に拳法の鍛錬をしている所長を見て、密かに拳法を習得するジョン。それに感銘を受けた所長はジョンを弟子にして特訓を開始厳しい修行の下で秘伝の忍術も授かったジョンは"コマンドーニンジャ"になりました。ここで、彼以前に奥義を伝授したコマンドーニンジャの存在を語る所長。所長の一番弟子だった人物はフォースの暗黒面に堕ちて、悪の存在"レッドニンジャ"となってしまいました。ジョンの精鋭部隊を壊滅させたニンジャ軍団のボスです。「コマンドーニンジャを倒せるのは、コマンドーニンジャしかいない」と言い残して、米軍の空襲爆死する所長。

 

時は流れて、1986年のロサンゼルス。ジョンの元妻の家に訪れたターミネーター風サイボーグシュワちゃん監修エアロビに興じていた元妻を射殺、娘のジェニー拉致。退役してカナダの山奥で隠遁生活を送っていたジョンの元にかつての戦友ホプキンスが訪れて、その事実を知ります。ベトナム戦争後もずっと軍人だったホプキンスは、世界を暗躍する武器商人キンスキーを追っていました。キンスキーはレッドニンジャを手下に持ち、ソ連との共同開発でタイムトラベル装置を開発、ジェニーを拉致した張本人でもあります。ジョンのもう一人の戦友コワルスキーをサイボーグにしたのもキンスキーの仕業。その後、ホプキンスがレッドニンジャに殺されたため、単身で中米のバルベルデ共和国にいるキンスキー邸宅に乗り込んで、大銃撃戦を展開。ジョンは宿敵レッドニンジャを倒して、娘ジェニーを救うことができるのか・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Commando Ninja」。「アメリカン忍者」「地獄のヒーロー」といったキャノンフィルムのアクション作品群と「ターミネーター」「コマンドー」「ホーム・アローン」といったハリウッド大作の要素を70分弱にこれでもかと詰め込んだ愛すべきフランス製自主製作映画。クラウドファンディングで目標の倍以上の金額(31,953ユーロ。約500万円)を集めて作られたとのこと。作りはチープだけど、活劇エッセンス溢れる演出力はホンモノ。特に話をテンポ良く進めていく編集技術が光ります。爆破や銃撃シーンだって、そこそこ本格的。作り物丸出しゴアシーンにも愛嬌があります。いかにも1980年代っぽいエロサービスにも抜かりありません。ベトコン部隊が米軍退治のために恐竜を森に放つバカ展開もアリ。通常なら憎たらしい敵役でしか描かないベトナム軍捕虜収容所所長を主人公の師匠役に設定している点には斬新なセンスを感じます。

 

「君のコマンドーニンジャ能力で私の部隊を鍛え上げて、一緒に世界征服をしよう」というキンスキーの悪魔の誘いを断るジョン。囚われていた娘ジェニーがジョン譲りの格闘オタク設定なのが面白く、彼女キンスキーのお尻に忍ばせた手榴弾で、ヘリで逃亡したキンスキー空中で爆死します。しかし、サイボーグのコワルスキーがタイムトラベル装置を使って、娘と共に近未来へ逃亡。レッドニンジャ(正体は意外な人物)をやっつけた後、主人公もタイムトラベルで娘を探しに行きます。1998年の未来像は、もろに「マッドマックス2」風味。立派な女戦士に成長したジェニー、一度死んだのに別時空から現れて復活したホプキンス、CPUを再インストールして善玉サイボーグに生まれ変わったコワルスキーとの感動の再会がラストに待っています。今年のクリスマスにリリース予定だという続編も楽しみです。