ベルモンドおじいさんの冒険譚をU-NEXTで観ました。初見。
監督・脚本はフィリップ・ド・ブロカ。予告編はコチラ。
生物学者エドゥアール(ジャン=ポール・ベルモンド)。新薬開発のため、アマゾン川流域で昆虫の調査中。ある日、ジャングルをたった一人で歩いていた少女ルルと出会います。「ここはニューヨークじゃないの?」と意味不明なことを口走る不思議な女の子。妙に懐かれたもんですから、しばらくの間に一緒に行動することに。現地住民ともすぐに馴染んでいくルル。そんな時に、天文学者マルゴ(アリエル・ドンバール)が特殊部隊と共にフランス海軍の密命で訪れます。この辺にUFOが着陸したという情報を得て、その行方を追っているとのこと。ただ、宇宙人を見つけて始末しようとしている特殊部隊のリーダーとソリが合わず、長年の夢だった未知との遭遇に心躍らされているマルゴは単独行動を開始。現地で唯一フランス語がしゃべれるエドゥアールと会ったため、しつこく付きまとってきます。そして、彼のそばにいるルルが地球最古の文字をスラスラを書いてるのを見て、目の前の女の子が宇宙人だと確信。
ルルは、なぜ地球に降りてきたのかを語り出します。地球から十光年離れた星の生まれで、地球人よりはるかに高い知能を持っていて、薬によって不老不死になっていること。愛することと死ぬことがどういうことなのかを知りたくて、数名の仲間たちでニューヨークに来ようと思ったら、宇宙船の操縦ミスでアマゾンに落っこちてしまったこと。今は仲間とはぐれてしまったけど、満月の夜に迎えに来てくれること等々。地球に薬を持ってこなかったルルに老化の現象が起こりはじめた頃、攻撃的な先住民がエドゥアールたちの住むコミュニティを襲ってきて、ルルが仲良くしていたおじいさんが死んでしまう事件があったりしてるうちに、フランス特殊部隊がルルを誘拐します。しかし、ドサクサに紛れてルルを奪い返すことに成功したマルゴとエドゥアールと、なぜか現地から二人に付いてきた少年。すると、今度は4人を追う特殊部隊が反撃。船、ミニタクシー、列車、バスと乗り移っての大逃走劇が始まって・・・というのが大まかなあらすじ。
原題は「AMAZONE」。「リオの男」や「カトマンズの男」などのオフビートなユルさが楽しい冒険活劇で有名なド・ブロカとベルモンドのコンビが老境の域に達して久しぶりに作った一品。さすがに御年67才になったベルモンド。昔のように縦横無尽に駆け回る往年の軽やかさこそありませんが、妙な出来事に巻き込まれて嫌々ながらミッション達成に向けて奮闘させられるキャラを再演してくれているのはウレシイ限り。昆虫学者なのか、指名手配中のエメラルド泥棒なのか、よく分からない正体不明の胡散臭い役どころ。宇宙人を助けるというバカバカしい話がほど良いテキトーさで進行。ヒロイン役はエリック・ロメール映画の常連アリエル・ドンバール。ベルモンドを困らせるワガママ女役で、二人が終始言い合っているラブコメ要素もあり。アマゾン川に放り込まれたり、宙吊りにされたりして、ベルモンドより体を張ってます。スタイルはバツグンです。
映画を魅力的にしているのは、宇宙人少女のルルを演じたティルダ・バレのキュートさ。現地の少年とのキスシーンもカワイイです。特殊部隊の追っ手から逃げ切ることはできたものの、急速に年老いてしまったルル。そこに仲間が現れて若返りの薬を与えると復活。一連の騒動で仲良くなったエドゥアールとマルゴが親代わりになって、みんなで仲良く夢のニューヨークに旅立つシーンで映画はおしまい。クライマックスのチェイスシーンは牧歌的ですが、アマゾンのさまざまな風景を見ているだけでも十分に楽しませてくれます。といってもそんなに面白いわけではないので、優しい眼差しで名コンビのおふざけを眺める感じで観るぐらいがちょうどいい映画でございました。あと、エンドロールで特殊部隊を"ランボー"とクレジットするお遊びもあり。




