「復讐の不死者」(1956)

 

科学実験で蘇った死刑囚が復讐の鬼と化すサスペンス映画をAmazonプライムビデオで観ました。

 

 

監督はジャック・ポレックスフェン。予告編はコチラ

 

現金輸送車襲撃で60万ドルを強奪した罪で刑務所にいるブッチャー(ロン・チェイニー・Jr)首謀者は弁護士ポールで作戦の立案担当。実行犯のブッチャー、ジョー、スクイミーを合わせて4人の犯行だったのに、ブッチャー1人に罪を押しつけられてしまったようで、面会に来たポールに「今度会ったらお前ら3人をぶっ殺す」と悪態を突いています。といっても、明日夕方に死刑されるため、負け犬の遠吠えです。せめてもの嫌がらせということで、自分が隠した60万ドルの在処をしゃべろうとしません。そして、死刑は執行されます。強奪された現金の行方を追う警察はまだ捜査中。担当するチェイスン刑事は、ブッチャーが追っかけをしていた踊り子エヴァに聞き込みますが手がかりなし。エヴァはブッチャーから金の隠し場所を書いた地図の入った手紙を受け取っていましたが、中身を見る前にポールにその地図を奪われます。

 

時を同じくして、ガン治療特効薬の研究をしている2人の科学者がある人体実験をしようとしていました。大量の電気ショックをお見舞いすると病気が治る発明らしく、刑務所から調達してきた処刑したてホヤホヤの遺体で実験してみると、停止していた心臓が動き出すではありませんか。その蘇った男こそブッチャーでした。実験の影響で怪力になって、銃弾も通さない強靭な肉体を手にしたブッチャーは、研究者2人を殺して町に出ると、スクイミージョーをぶっ殺します。二人の殺害を知ったポールは怖くなって、警察に悪事の全てを告白。武装した警察は金の隠し場所である下水道にやってくるブッチャーを待ち伏せして一斉攻撃するも、バズーカ砲火炎放射器でも死にません。しかし、地上に出て発電施設に逃げ込んだブッチャーは、高圧電流を浴びて勝手に自爆してしまって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Indestructible Man」。"不滅の男"という意味。電気ショックで怪物となったロン・チェイニー・Jrはサイレント時代にさまざまなモンスターを演じたスター。本作ではスッピンで汚い恰好をしたおっさんがゆったり歩いてるだけなので、なんの怖さもありません。実験で声帯を焼かれた設定のため、ずっと無言です。火炎放射器で顔が爛れてしまう描写も顔に粘土を塗ったようなチープなメイクでごまかしています。物語は捜査担当のチェイスンのナレーションで進行していく構成で、無事に事件を解決したチェイスンが捜査の過程で好きになった踊り子のエヴァにプロポーズして結婚するというどうでもいいハッピーエンドが待っています。結局2度死んでしまうので、不滅でも不死者でもない不運な男のお話でした。