「おじいちゃんはデブゴン」(2016)

 

認知症に悩むカンフーマスターのアクション映画をU-NEXTで観ました。

 

 

監督・主演はサモ・ハン・キンポー。予告編はコチラ

 

ディン(サモ・ハン・キンポー)はかつて中国人民解放軍の中央警衛局要人警護をしていたカンフーの達人。66才の現在は引退してロシア国境に近い故郷で一人暮らし。認知症の初期症状で物忘れが激しくなっていて、目を離した隙に不慮の事故で孫娘を失った過去があり、実の娘とも疎遠になっている寂しい日常を過ごしています。近所の世話好きのばあさんのアプローチには興味なし。隣に住む少女チュンファ(ジャクリーン・チャン)にだけは心を許していて一緒に遊んだりしています。彼女の父レイ(アンディ・ラウ)が無職のギャンブル好き。中国マフィアに多額の借金をしていることが原因で、ディンは面倒に巻き込まれることになります。

 

中国マフィアのボス、チョイ(フォン・ジャーイー)から借金返済の代わりにロシアンマフィアの宝石を盗む危険な任務を強要されたレイ。なんとか強奪に成功するも、欲に目が眩んで宝石を持ち逃げ。結局は見つかってチョイに襲われて、娘を頼むとディンに遺言を残して死亡。行方不明になってしまった少女チュンファを奪還するために、ディンはチョイのアジトに単身で乗り込みます。すると、中国マフィアだけでなく、宝石を取り返しに来たロシアンマフィアを相手にすることに。ボケてはいても、反射神経で繰り出すカンフーの腕だけは絶品で・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「我的特工爺爺/My Beloved Bodyguard」。”私のエージェントおじいちゃん/私の愛しいボディガード"の意味。わざわざ"デブゴン"にしなくてもいいかも。序盤の近所づきあいのパートこそコミカルな要素があるものの、無口なサモ・ハンが終始悲壮感を漂わせていて、事件解決後に認知症がさらに悪化していく切ない様子を描いてもいて、全体的にはシリアス寄りのテイスト。とはいえ、見どころはサモ・ハンのアクションなわけで、アジトに乗り込んでからのサモ・ハンの無双ぶりが圧巻。孫代わりに可愛がっているチュンファを救いたいがために、小さいナイフを持った中国マフィア集団を俊敏な動きでバッタバッタとなぎ倒した後、腕をぶった切れる大きめの刀を振り回すロシアンマフィアたちも一人ずつ芸術的に料理していくスタントは観る価値あり。

 

もう一つの見どころは、香港映画のレジェンドたちが友情出演していること。製作にも名を連ねているアンディ・ラウは途中で殺されるダメ男役でサモ・ハンの引き立て役に専念。まず、郵便配達夫でユン・ワーが顔を出したかと思うと、いつもベンチに座ってずっと世間話をしている三老人役としてディーン・セキ、カール・マッカ、ツイ・ハークが出演。サモ・ハンを交えたユーモラスなお年寄りトークで場を和ませます。エディ・ポンフー・ジュン、ウィリアム・フォンなどもカメオ出演、そして、最後の方でサモ・ハンの正統な後輩であるユン・ピョウがちょっとだけ出ていたのが、なによりも感慨深かったです。