「レプタイル -蜥蜴-」(2023)

 

ベニチオ・デル・トロ主演のクライムスリラーをNETFLIXで観ました。

 

 

監督はグラント・シンガー。予告編はコチラ

 

不動産会社社長の恋人の惨殺死体が自宅で発見される事件が発生。恋人のサマーを殺された社長ウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)の取り調べをするのは、腕利きの殺人課刑事トム(ベニチオ・デル・トロ)。サマーには別居中でなかなか離婚してくれない夫がいたため、無職の自分を捨てて不動産業の男に乗り換えた妻を恨んでいる夫が第一容疑者になります。恋人のウィルはかなりのマザコンというだけで疑わしい点がなさそうですが、母親役にわざわざフランシス・フィッシャーを配している点が怪しく、マザコン母子が犯罪に絡んでいる可能性大です。敏腕刑事らしいトムは、ムチムチボディの妻ジュディ(アリシア・シルヴァーストーン)と二人暮らし。ジュディ叔父がトムの上司で、彼ら以外の刑事たちもみんな仲良ししょちゅう刑事仲間でつるんで飲んでいたり、家族ぐるみで付き合いをしている様子が捜査パートと同じくらいの時間をかけて描かれます。

 

やがて、土地をウィルに騙し取られたと思い込んでいて、殺人現場にも顔を出していた不審な男イーライが浮上、身辺調査を始めるトムたち。その男が言ってることにも一理あると感じたトムは、ウィルの不動産事業に殺人事件と繋がる裏がないかと捜査を続けます。しかし、最初の容疑をかけた被害者の夫の家を訪ねた時、トムの相棒から拳銃を奪って逃げようとしたため、追跡したトムが夫を射殺。その後、自宅から大量のヘロインが発見されたことから、犯罪に手を染めていた夫がサマーを殺したということになって、捜査は打ち切りとなります。が、ウィルが犯人に違いないと思い込むイーライが掴んだある事実がトムの手に渡って、事件の真相が思わぬところに潜んでいたことを知るに至ります。真犯人は一体誰だったのか・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Reptile」。"爬虫類"という意味です。有名アーティストのMVを多く手掛けていたグラント・シンガーの長編デビュー作。ベニチオ・デル・トロが製作や脚本にも参加。渋いおっさんがコツコツと真実に近づいていくさまをじっくりと腰を据えて描いた演出、人物を正面にしてのゆったりとしたカメラワークには正統派のセンスを感じます。ただ、丁寧な演出に作り手が酔ってる感も多少あり。ストーリーが面白いかどうかにも個人差があるかと思われるものの、不気味な何かが潜んでるのかもと思わせるノワールな雰囲気が持続する感じはとても良かったです。若い美男美女が出るわけでもないし(アリシア・シルヴァーストーンの熟女感が徐々に良くなってくる)、ハデなアクションがあるわけでもないし(ピリっとするのは銃を構えるポーズをとるシーンぐらい)、ずーっと見てると眠くなってしまうベニチオ・デル・トロの顔のショット(ドアップも)が多めでもあるので、地味な北欧サスペンスドラマを観る気持ちで臨むのが良いかと思われます。