「カクテル」(1988)

 

トム・クルーズ主演のモテモテサクセスストーリーをAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督はロジャー・ドナルドソン。予告編はコチラ

 

兵役を終えたブライアン(トム・クルーズ)。今度はビジネスで成功するぞというんで、バスに乗ってニューヨークにやって来ます。しかし、大卒資格のないブライアンへの風当たりは強く、金融・広告等あらゆる業種の一流企業の面接はことごとく惨敗。ビジネススクールに通いながら、当面の生活費工面としてお店のビラで見たバーテンダーのアルバイトを始めます。そこで知り合ったベテランバーテンダーで渋い色男のダグラス(ブライアン・ブラウン)素質を買われてバーテンディングのパフォーマンスでコンビを組むと、これが大評判。ブライアンは二人で新しい店を持つことを提案するも、ダグラスにカノジョ(ジーナ・ガーション)寝取られて大ゲンカ。ニューヨークを離れて、ジャマイカのビーチバーテンダーとして働き始めます。

 

で、ニューヨークからの美人観光客ジョーダン(エリザベス・シュー)と知り合ってすぐにラブラブ。そこに富豪の娘ケリー結婚したダグラスがジャマイカへ新婚旅行にやって来て、客の年上美女ボニーを口説けるかとブライアンを挑発。ムキになって手を出してるところを見て、ショックを受けてニューヨークに帰るジョーダン。ブライアンは会社経営者だったボニーとニューヨークに戻るも破局。続いて、ジョーダンとヨリを戻そうと彼女を訪ねるも、都合良くいくわけがありません。でも、ジョーダンはブライアンの子を身ごもっていました。同じ頃、再会したダグは投資に失敗して自殺。チャラい生き方をしていたことに気づいた自分を恥じたブライアンは、ようやく本当の愛に気づいて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Cooktail」。邦題もそのままです。ヘイウッド・グールド原作小説を作者本人が脚本をつとめて映画化。都会に出て挫折した青年がバーテンダーという仕事にやり甲斐を見つけて、仕事に恋に大奮闘といったところですが、この主人公、かなり軽薄です。何の資格も持たずにNYの一流企業の面接を受ける世間知らずすぎる田舎者。しかし、イケメン人懐っこさの2つの強力な武器を有しているブライアンはバーテンダーにピッタリの男でした。バーテンディングという派手なパフォーマンスも軽々と習得。美女をたやすくオトせる術は天性の資質としか言いようがなく、お調子者が天職に出会って、都合よくイイ女を渡り歩いて、誠実な美女をゲットして幸せになりましたとさというお気楽な展開をサクサクと観ることができます。コツコツ働くタイプの人には噴飯モノの代物なので、この年のラジー賞の作品賞と脚本賞を受賞したのも納得。

 

しかし、ずば抜けてモテることには市場価値があり、そんな選ばれしラッキーガイがこの世に稀に存在するのもまた現実。それをさわやかなトム・クルーズに演じられてしまうと、グゥの音も出ません。キャリア面で最もアカデミー賞獲得に近い作品選びをしていた頃に、軽い小品で大ヒットを飛ばすスター性はさすが。公開当時はいけ好かなくて観る気を起きなかったことを告白しておきます。面倒見の良さをそれほど感じない兄貴分のダグラス。見た目だけでブライアンにゾッコンになるジョーダン。財力でブライアンを自分の所有物のように扱うボニー。美人でスタイルが良くて富豪の娘のケリー。モテモテで3人の美女とイチャつくブライアン。登場人物がいちいち気に食わない連中だらけです。内容もスカスカですが、1980年代後半で最高の野心あふれる若い男性スターと1980年代後半で最も相手役が似合う女性スターが共演した、とても1980年代後半らしい映画でございました。