「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」(2023)
トム・クルーズが世界中で走って飛んでのアクション映画を池袋グランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGTで観ました。
監督はクリストファー・マッカリー。予告編はコチラ。
AI技術による推測航法(デッドレコニング)で敵に知られずに航行できる最新鋭のロシア潜水艦セヴァストポリ号が、敵艦の魚雷攻撃を察知。反撃に転じて魚雷を発射するも、敵艦と敵艦から発射した魚雷がレーダーから忽然と姿を消します。一方、セヴァストポリ号が迎撃した魚雷が制御を失って方向転換。自艦に突っ込んだ魚雷によって、セヴァストポリ号は沈没。しばらくして、アムステルダムにいたイーサン(トム・クルーズ)がIMF(Impossible Missions Force)から極秘ミッションを依頼されます。暴走したAIが金融機関や政府のシステムに次々と侵入、機密情報を奪って世界を混乱に陥れてるらしく、冒頭の潜水艦沈没もAIの仕業でした。その『エンティティー』と呼ばれるAIを制御できる"鍵"が現在二つに分かれていて、まずはその片方を奪還するのがイーサンに課せられたミッション。その鍵を手に入れた者が世界の覇権を握ることができるため、アメリカ以外の各国も鍵の入手に躍起となっています。
といった設定の説明があってからは、鍵をめぐる攻防がずっと続きます。鍵の片方を持っていたイルサ(レベッカ・ファーガソン)がいるアラブの砂漠で彼女を追う賞金稼ぎとの銃撃戦。AIの威力を独占しようとするCIAとイーサンの確執。その後、ルーサー(ヴィング・レイムス)とベンジー(サイモン・ペッグ)と合流。鍵を狙う別の犯罪組織に依頼されたスリの達人グレース(ヘイリー・アトウェル)と、イーサンを追うCIAとのアブダビの空港での追っかけっこ。で、ローマに逃げたグレースとまた追ってきたCIA、さらにAI自体が送り込んだエージェントのガブリエル、彼の手下パリスも加わってのカーチェイス。大追跡劇は場所を移したヴェニスでも続いて、仲間の死もあってからの、あっちこっちの手に渡っていた2つの鍵がようやく揃ったオリエント急行にかなり無茶なやり方で乗り込んだイーサンが、最後の激しい鍵の奪い合いを演じて・・・というのが大まかなあらすじ。
原題は「Mission: Impossible - Dead Reckoning Part One」。デッドレコニングと言われても何のことだか分かりませんが、知らなくても全然楽しめます。あらゆる情報を支配してしまうAIを操ることができる二つの鍵を、イーサンたちと仲間たち、CIA、犯罪組織、AIが奪い合うだけのお話。デジタルなAIを司るブツをアナログな鍵にするという、単純で斬新な設定にすることで、そのブツを獲ったり、獲られたりするだけの展開に徹した163分でした。撮りたいアクションシーンが先にあって、ストーリーを後からこじつけたというのが納得できるアクション満載の映画で、バスター・キートンのスラップスティックコメディや1980年代の香港アクション映画を思わせる活劇スピリットを2億ドルもかけてカタチにしています。体を張ったスタント度は前作の方が上だったかもと思いましたが、まだパート1なので、後半でさらにトム・クルーズのチャレンジングなアクションが披露されそうな期待しかありません。イーサンこと、トム・クルーズの全力疾走する姿は、相変わらず神々しいです。
クールビューティーなたたずまいが絵になるイルサこと、レベッカ・ファーガソンにも見せ場あり。敵のAIがすごすぎるため、コンピュータ担当のルーサーとベンジーの活躍度は本作ではおとなしめ。そんなレギュラーチームに新しく仲間入りしそうなのが、グレース役のヘイリー・アトウェル。"スリ"という原始的な技術で敵やイーサンを翻弄して、物語をかき回すキャラが秀逸。この前観たインディ・ジョーンズ新作のヒロインキャラが彼女くらい輝いていたらとつい比較してしまいました。。。そういえば、世界の運命のカギを握るアイテムが二つに分かれているという設定もインディ・ジョーンズ新作と同じ。そして、グレースを雇っている組織のボス、アラナを演じるのは前作に引き続いてヴァネッサ・カービー、ガブリエルの手下パリスを演じるポム・クレメンティエフといった個性的な女キャラがもう二人いて、4人も魅力的な女性が出てくるのも珍しいかも。ローマの市街地で繰り広げる黄色いフィアットでのカーチェイスも良かったけど、クライマックスでの橋から落下しかけている列車からの脱出シーンの連続が白眉。事件が解決するであろうパート2が公開される来年6月が楽しみです。