「殺したいほどアイ・ラブ・ユー」(1990)

 

浮気夫を殺そうとする妻たちのコメディをU-NEXTで見ました。初見。

 

 

監督はローレンス・カスダン。予告編はコチラ

 

ピザ屋を経営するジョーイ・ボーカ(ケヴィン・クライン)は毎日モーレツに働く仕事人間である一方で、有り余るホルモンを発散するために、毎週浮気をしているタフなイタリア野郎です。妻のロザリー(トレイシー・ウルマン)は夫の浮気を1ミリも疑っていません。ジョーイの浮気性を知っている店員のディーボ(リヴァー・フェニックス)は、そんなロザリーにひそかに想いを寄せています。ある日、ロザリーは夫ジョーイの浮気現場をついに目撃。裏切られた悲しみと怒りでショックを受けるロザリーを見た母親のナージャ(ジョーン・プローライト)は、夫を殺せとアドバイス。さっそく、同意したロザリーとジョーイ殺害計画を実行に移します。

 

まずは知り合いの無職の男に暗闇で襲わせるも失敗。ジョーイの車に爆破装置を仕掛けるも、これも不発。大量の睡眠薬を投入した夜食のパスタを差し出すも、美味しそうにペロリと平らげてビクともしません。もう一度食わせると今度こそ昏睡状態にすることに成功。銃を向けても撃つことができない母娘は、ロザリーのためなら何でもするというディーボを自宅に呼んで撃たせます。しかし、弾が頭に命中したのに、いびきをかいて寝ているジョーイ。ディーボはチンピラコンビのハーラン(ウィリアム・ハート)とマーロン(キアヌ・リーブス)に応援を頼んで、胸に弾を撃ち込ませるも、睡眠薬が切れて目覚めてしまったジョーイ。やがて、銃撃事件を知った警察が到着。家にいたロザリーたち全員が逮捕されたものの・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「I Love You to Death」。"死ぬほど愛してる"という意味で、本作の妻は、浮気を知って殺したくなってしまうほど夫を愛しています。1984年に実際にあった殺人未遂事件をベースにしたコメディなんだそうです。脇役陣の顔ぶれの豪華さでついつい観てしまいました。ピザ屋の店員役でリヴァー・フェニックス、ボンクラなチンピラコンビ役で、すでにオスカーを獲っていたウィリアム・ハートとまだ若手俳優の一人だったキアヌ・リーブス。ジョーイの浮気相手役で、無名だったヘザー・グラハムとケヴィン・クラインと結婚して間もなかったフィービー・ケイツなどなど。ついでに、ディーボの弁護士役でローレンス・カスダン本人も出演。

 

妻のトレイシー・ウルマンとその母のジョーン・プロウライトのコンビが地味ながら軽妙な演技で物語を引っ張ります。二人が軽薄な夫を殺そうとしてなかなか上手くいかないパートが爆笑まではいかないものの、そこそこ可笑しいです。命を狙われた夫は嫁姑を訴えて、一度は刑務所入りにしますが、浮気をしたお前が悪いとママに怒られて、ロザリーたち全員を保釈。マザコンが多いといわれるイタリア人らしい描写で、ここしか出てこないジョーイママの言動が本作で最も笑えるシーンでした。で、浮気三昧だった自分のこれまでの暮らしぶりを反省して、これからは心を入れ替えますと家族に誓ってめでたしめでたしというんで、映画は終わりました。茶の間でボンヤリ見てると、ユルいユーモアで案外楽しいと思えるタイプのコメディといった感じです。あと、冒頭のピザ屋で作っていたミートボールがすごく旨そうでした。