「殺意の夏」(1983)

 

イザベル・アジャーニがひたすら悩殺してくる映画をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督はジャン・ベッケル。予告編はコチラ

 

フランス南部にある小さな町に、エリアーヌ(イザベル・アジャーニ)という20才の美女が両親とともに引っ越してきます。セクシーレディの出現で、田舎町が色めき立ちます。ハデめの服装でお尻を振りながら、これ見よがしに歩き回るエリアーヌ。誰それがアイツともうやっただとか、ヤリマンみたいだぞとか、下品なウワサが飛び交う中、修理工のパンポン(アラン・スーション)もご多分にもれず、エリアーヌが気になって仕方ありません。週末のダンスパーティーで踊る彼女に声をかけて意気投合。エリアーヌの方もその気アリな感じで、さっそく仲良くなった二人最初のディナーの後、パンポンの自宅の納屋でベッドイン。彼女に夢中のパンポンウキウキ気分。やがて、エリアーヌは母と叔母、二人の弟と暮らすパンポンの家一緒に暮らすことに。

 

しかし、彼女には企みがありました。すでに亡くなってるパンポンの父を含めた三人が、20年前にエリアーヌの母ポーラを凌辱した過去があり、その夜に妊娠してできた子供がエリアーヌであり、彼女は復讐相手を探して殺すためにパンポンに近づいたのでありました。現在も生きている加害者二人を殺して、パンポンの家族たちも不幸のどん底に突き落とす機会をうかがっています。しばらくしてパンポンの子供を身籠ったというんで、パンポンとエリアーヌは結婚することに。時を同じくして、母にヒドイ目に遭わせた二人の居場所を見つけたエリアーヌ。結婚式当日、式を途中で抜け出したエリアーヌは、加害者二人の住む場所に行って、復讐する決意を固くします。しかし、いよいよ決行が近づいたある日、意外な真相が浮かび上がってきて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「L'Été meurtrier」。英題は「One Deadly Summer」。"殺しの夏"という意味なので、邦題もほぼ同じ。ドゥ・マゴ賞を受賞したセバスチアン・ジャプリゾ原作小説の映画化。最大の見どころは、イザベル・アジャーニそのもの。彼女コスプレ大会かといわんばかりに、いろんな衣装いろんなポーズで登場して誘惑する彼女を愛でる映画です。突然の入浴シーン等、何も着ていない場面もちょくちょくあり。当時27才の彼女が20才の役(10代中盤の回想シーンも)を演じるのはちょっとだけムリに感じます。感情の起伏が激しい演技はイザベル・アジャーニの得意技。オファーを一度断った後に原作を読んで思い直して、後釜として決まっていたヴァレリー・カプリスキーからまた奪い返したという逸話あり。アンチエイジングにこだわってる点はフランスの女優にしては珍しく、最近は見た目が怖くなっていますが、フランスを代表する女優さんの1人です。ただ、この内容で地元フランスのセザール賞主演女優賞を受賞していたり、作品自体もカンヌ国際映画祭パルム・ドールにノミネートされていたのにはビックリ。この年だけ、脱ぎっぷりも審査項目だったんでしょうか。

 

終盤に怒涛の展開を見せるミステリーパートは意外性があります。終盤のオチをいうと・・・、復讐の相手だと思っていた人物から、10年前に訪れたエリアーヌの父にお前が犯人だろと問い詰められて否定した過去があったことを告白されます。そのことを父に尋ねると、別にいた真犯人を10年前に見つけていて、彼ら全員をすでに殺害しているとのこと。これまで復讐のみを考えていた自分の人生はなんだったんだとショックを受けたエリアーヌは完全に精神が崩壊。幼児退行してしまって精神病院行き。その後、エリアーヌが復讐の相手だと思っていた人物名を書いたメモを見てしまったパンポンが、誤解したまま、無実の男二人を猟銃で殺害してしまうというさらなる悲劇を迎えて映画は終わります。あと、サブキャラの叔母(シュザンヌ・フロン)がキュートだったり、レズビアンの女教師が出てきたり、自転車競技ペタンクといったスポーツ描写がある点も一応メモしておきます。