「外道 GEDO THE FATAL BLADE」(2000)

 

中条きよしと松田聖子が共演したヤクザ映画を観ました。初見。

 

 

監督はダレン・スー。予告編はコチラ

 

末松組のLA支部長・龍神 (清水健太郎)のヤク取引の失敗の尻ぬぐいとして、組長(松方弘樹が特別出演)が若頭の堂本 (中条きよし)を派遣。ミッションは、LAマフィアのブロンソンの暗殺。さっそく日本刀片手に女二人をはべらかすブロンソン襲撃するも、アジトの向かい側のビルで張り込んでいたLA市警のフォックス(ゲイリー・ダニエルズ)に現場を踏み込まれて逮捕されます。警察署で取り調べを受けている時、違法銃所持騒ぎで身柄拘束中の日本人女性サエミ(松田聖子)署内で暴れ出したので、そのスキを付いて一緒に逃走。盗んだ車で逃げる二人を追っていたフォックスの相棒を助太刀にやってきた龍神が銃殺。フォックスは堂本が相棒の仇だと思って復讐を誓います。命を狙われたブロンソンと警察の両方に追われる身となった堂本。龍神が用意したアジトにサエミと潜伏していると、LAで殺された妹の復讐をするために日本からやって来たと、サエミが堂本に告白。「仇を討ってくれるなら私の体を好きにしていいわ」と脱ぎかけたところを制止する堂本。聖子のハダカは寸止めで見られずじまい。

 

聞いたからには仇を討ってやると無償で仕事を請け負う堂本。そこにフォックスが現れてタイホしに来ます。互いに銃と刀を向けながらの会話で、相棒を殺したのは堂本でないことが分かったフォックス。しばらくして、何者かが仕向けた刺客も襲撃してきたので、堂本とフォックスが協力して刺客を撃退。そのスキを突かれて堂本とサエミにまた逃げられるフォックス。サエミは銃を調達して妹を殺した男を殺しに行きます。復讐の相手はブロンソンでした。クラブで女二人をはべらかしてたブロンソンを見つけて、色仕掛けでブロンソンの部屋に入ったサエミ。二人きりになったところで銃をぶっ放しますが、防弾チョッキを着ていたブロンソンが一枚上。囚われの身となります。絶体絶命のピンチとなったと思いきや、堂本が参上。サエミに今度こそ妹の仇取らせます。しかし、サエミが休養していたホテルに龍神が現れてサエミを射殺。堂本が駆け付けるも、時すでに遅し。龍神が取引失敗と見せかけて私腹を肥やしていたことにようやく気づいた堂本は、LAからトンズラしようとしていた龍神をぶち殺すのであった・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は2000年2月19日。海外ではビデオスルーだった模様。日本でもどれくらいの人が観ているんでしょうか。全編LAロケで、おなじみのコンクリートの川岸も登場。主演は元キックボクサーのゲイリー・ダニエルズ。人の好さそうな顔立ちで、得意のキックを使ったアクションは良いですが、ヒーローらしさはあまり感じません。中条きよしにカンタンに逃げられてばっかりで、警察が追っているLAマフィアのブロンソンも、日本ヤクザの龍神も、始末するのは中条きよし。恋人がいいオッパイをしてることぐらいしか自慢できるところがありません。美味しいところを全てかっさらっていくのは、実質的主役の中条きよし。LAだと完全に浮いてる恰好をしてるのに、堂々とキザに振舞っているため、かなりカッコ良く見えるから不思議。日本刀のさばきもサマになっています。傷一つなく悪党を全員やっつけて、ラストバトルでは助っ人に徹したゲイリー・ダニエルズに別れを告げて、朝焼けの中を颯爽と去っていく後ろ姿で映画は終わります。

 

準主役のヒロインに松田聖子。妹の仇を取るためにLAマフィアを自分だけで退治しようとする無謀な役どころ。英語のセリフはとても流暢。本来なら中条きよしとのラブシーンがあってしかるべきですが、NGを出したのかもしれません。魅力がないこともないけれど、別に松田聖子が演じるべきキャラクターではないわけで、当時38才という年齢も微妙。やっぱり、歌っている時の聖子ちゃんの方が断然素晴らしいです。MVPをあげたいのは、LAの日本ヤクザを演じた清水健太郎。役作りのために増量して臨んだようで、凄みのある顔つきにも気合いが入っています。最後の対決では中条きよしに軍配が上がるものの、刺青対決では清水健太郎圧勝でした。愛人はべらし方も、最後の死にっぷりも、実に鮮やか。とにかく、細かいストーリーのアラを気にしたらいけません、日本人俳優三人の異色の組み合わせだけで十分に楽しめる作品でございました。