「オ!ムニ」(2020)

 

ひき逃げされた娘の犯人捜しをする父と祖母の物語をU-NEXTで観ました。

 

 

監督はチョン・セギョ。予告編はコチラ

 

嫁が姑と上手くいかずに家を出てから、母ムンヒ(ナ・ムニ)と二人で一人娘ボミを育てているドゥウォン(イ・ヒジュン)は、保険会社のサラリーマン。娘は小さいながら、しっかり者。むしろ、痴呆症の母の方が心配な今日この頃。近くにいるいとこも何かと気にかけて面倒を見てくれています。母と娘が眠りについたある夜、キャバクラに遊びに行ったドゥウォン。お気に入りのホステスを口説くべく、カラオケを熱唱しながらいい気分になっているとケータイに電話がかかってきます。娘が交通事故で重傷だとのこと。ホステスのキスマークを付けたまま、急いで病院に駆けつけると、ひき逃げに遭った娘が意識不明の状態でベットにいました。なんで夜中に家を出てたんだといとこに叱責されて激しく後悔するドゥウォンおばあちゃんと一緒に犬を連れて夜道を散策していた時に、突然出てきた車に轢かれてしまった模様。事件の目撃者はおばあちゃんと犬だけ。

 

ボケてしまったおばあちゃんは妙なコトを口走ってるだけでアテになりません。犬にいたってはしゃべれません。旧知の先輩である刑事に犯人のタイホをお願いしますが、選挙期間での警護の動員で手一杯の警察の捜査はなかなか進展しません。なもんで、仕事を休んで自分で犯人を見つけ出すことにしたドゥウォン。最初は母の言うことを無視していたものの、「デカ尻」というワードが車の後部ボディの形状を指していることが分かって、ひき逃げした車のヒントを1つ発見。しかし、急に暴れ出すわ、母が治療器具の電源のコンセントを抜いてしまったため、孫が危篤状態に陥らせるわで、迷惑行為を連発する母に激怒。ただ、たまに何かを思い出すので黙らしておくわけにもいかず、母を事故現場に連れて行って、母子で捜査活動を続けるうちに、もう一つ口にしていた「11時55分」というワードの謎も分かってきて、事件の真相に近づきます。そして、意外な真実が判明して、真犯人と対峙することになったドゥウォンは・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「오! 문희」。英題は「Oh! My Gran」。"お母さん(英題はお婆さん)"の意味。ムンヒおばあちゃんが首を吊ろうとしたり、一人娘ボミちゃんが車に詳しかったり、ドゥウォンの幼少時代にツライ過去があったり、前半にいろいろ散りばめている伏線が、後半で事件を解決してヒントになって回収されていくパターンのストーリー。韓国の女の子向け人気番組『シークレット・ジュジュ』(「セーラームーン」みたいな感じかな)と日本の『妖怪ウォッチ』がボミちゃんが好きなアニメとして登場、それらの関連グッズもストーリーにも上手く絡ませてました。わりと分かりやすい伏線や真犯人推理から気持ちをそらさせるために、イノシシが暴れるコントっぽいインパクトのあるコミカルなシーン等を各所にまぶしているのではと思われます。

 

おばあちゃんのナ・ムヒ父のイ・ヒジュンの母子のコンビネーションはGOOD。も無条件にカワイイです。他に、保険会社の上司役でチョン・ベス、車修理工役でキム・ソンギョンが出演して、それぞれに事件解決に貢献。ライトコメディタッチなのに、目を背けたくなる描写があるのは韓国映画らしく、娘がどういう状況で車にハネられたのかを防犯カメラの映像データでチェックしようとして、ツラくて直視できない場面はグロ描写とは違うエグさがありました。娘がヒドイ目に遭う映像を見させられるのは、親として究極の拷問です。ドゥウォンが多指症だったことに絡んだ回想シーンにもギョッとするシーンあり。ボケた母に憎まれ口を叩いたり、ツラく当たるシーンもありますが、最終的には固く結ばれた親子愛再確認するので、確実にハートウォーミングな気持ちになれる映画でございました。何もしゃべれないワンちゃんも健気に活躍します。