「きつね」(1983)

 

35才のおっさんと14才の少女のラブストーリーをU-NEXTで観ました。初見。

 

 

監督は仲倉重郎。予告編はコチラ

 

北海道の根釧原野。自然豊かな環境にある研究所で、学生と共に氷の結晶の研究をしている大学職員の緒方(岡林信康)。ヒゲモジャの35才独身。ある日、近くにある保養所に部屋を借りて一人で住んでいる少女万耶(高橋香織)と出会います。母子家庭で病弱な14才の美少女。緒方も同じ保養所を借りることになったため、人懐っこい万耶を親戚の娘のように可愛がって、外に出かけて遊ぶようになります。数日経った頃、緒方の恋人友紀(三田佳子)が訪ねてきます。30代中盤くらいのお色気ムンムンの人妻。緒方に恋心が芽生えていた万耶は嫉妬心がメラメラと燃え上がります。「夫のいる女性と付き合うなんて不潔!」と言って緒方を責める万耶。と言いながら、似合わぬ化粧をして人妻と張り合おうともしています。

 

やがて、万耶は野生キツネ経由で感染してしまう難病"エキノコックス症"患者であり、余命数ヶ月であることを知ってしまいます。秋が過ぎて冬になると、親しかった老人(浜村純)も亡くなってしまって、死の恐怖が襲ってきた万耶はブリザードの吹き荒れる中、あてもなく外をさまよい歩きます。その姿を見て驚いた緒方。万耶は自分の病気のことは隠して、「私のために、キツネを撃ってちょーだい」とおねだり。万耶を連れて、流氷原でキツネを待ちます。「きつねなんか来なくてもいい、万耶のおかげで久しぶりに真剣な気持ちになれたぜ」と言い出す緒方。キツネを射止めた夜、緒方と万耶は結ばれます。その後、実家に帰っていった万耶。数日後に緒方は万耶の死を知らされて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1983年6月4日。同時上映は、桃井かおり主演の「シングルガール」。どんな観客層に向けてのカップリングなんでしょうか。。。本作の方は、いわゆるひとつのロリコン映画で、少女の性交を匂わせるシーンがあるため、長らくDVD化されていなかったとのこと。脚本の井手雅人が早世した自分の娘に大人の恋愛をさせたい気持ちから作った映画のようですが、少女がオトナの男性に憧れる気持ち以上に、少女に愛されたい(作り手側の)おっさんの願望が見え隠れしています。やはり恋愛はさせるものではありません。伝説的フォークシンガーの岡林信康による朴訥な芝居は悪くなく、ありふれた中年男性のたたずまいを見せているだけに、気色悪さが引き立つ結果にもなっています。入院中に知り合いになる地元の十代の好青年と恋をする方が自然かなと思いました。

 

根釧原野の風景、キツネ白鳥の映像はキレイです。劇場で観たら心が洗われたかもと思わせる自然のシーンがたくさん出てきます。アザラシやキツネが捕獲される映像もあり。そんな田舎の原風景に場違いな妖しげなフェロモンを放つ三田佳子の登場にビックリ。「ちっとも電話してくれないんだから」と言って押しかけて来る人妻役。また、保養所の従業員という立場以上に万耶を親身になってサポートするおばちゃん役におせっかいババア界の名優野村昭子、死にかけの浜村純、地元の漁師役の山谷初男、阿藤海なども地味ながら的確な配役。純真な少女を演じた高橋香織という女優さんは1980年代中盤だけ芸能活動をされてたようです。良い眼差しをしていました。なお、当初は「北の国から」の倉本聰が脚本を担当する予定だったという記述を読んで、寡黙なおっさん、少女、北海道の大自然といったモチーフだけ拝借して、別の物語をでっちあげたのかなあといった印象。豊かな自然と少女のリリカルな表情の描写は見どころありの映画でございました。