「シンバッド七回目の航海」(1958)

 

レイ・ハリーハウゼンの特撮が楽しい冒険映画をひさびさに観ました。

 

 

監督はネイサン・ジュラン。予告編はコチラ

 

婚約者のパリサ姫(キャスリン・グラント)を乗せて航海中のシンバッド王子(カーウィン・マシューズ)が食料補給で島に立ち寄ると、黒ずくめのおっさん(トリン・サッチャー)が一つ目巨人のサイクロプスに追われていたのでとりあえず助けます。サイクロプスが持っていた魔法のランプを盗もうとして失敗した男は、ソクラという名の黒魔術師。バグダッド到着後、ランプ奪還のためにもう一度島に行ってほしいと頼みますが、結婚式を控えるシンバッドは拒否。怒ったソクラは黒魔術でパリサ姫を小人に変えてしまいます。「島にいる双頭の巨鷲の卵の殻を使えば、姫を元に戻す魔術がありますよ」と言われて、しょうがなく航海に向かうシンバッド。しかし、航海に労役要員として連れて行った死刑囚に反乱を起こされて監禁されてしまいます。

 

島に着いた死刑囚たちが財宝を見つけてニヤニヤしていたら、サイクロプスに襲われますゴチャゴチャしている間に脱出に成功したシンバッドはサイクロプスを退治して、魔法のランプと双頭の巨鷲の卵の殻をゲット。つづいて、双頭の鷲に襲われて戦っている間に、こっそり連れて行ったパリサ姫がソクラに拉致されます。ソクラに魔法のランプを渡すことを条件に、パリサ姫を元通りにしてもらいますが、ガイコツ剣士を仕向けられて戦わされる羽目に。なんとか撃退したものの、洞窟の中にはドラゴンがいて、洞窟の外にはもう1頭のサイクロプスが待ち受けています。果たして、シンバッドはパリサ姫を救って島を脱出することができるのか・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「The 7th Voyage of Sinbad」。邦題(劇場公開時のタイトル)もほぼ同じ意味です。いわゆる『シンドバッド3部作』の1作目。数々のクリーチャーを登場させる都合優先のストーリーは置いといて、ハリーハウゼンの特撮をひたすら堪能すべし。圧巻は、サイクロプスシンプルで力強い造形。さらに、蛇女双頭の鷲ガイコツドラゴンも出てくるわけですから、それらの個性的な動きを観ているだけで眼福。現在の感覚だと間違いなくチープ、でも、ストップ・アニメーションに宿っている妙な温かみがクセになります。シンバッドとお姫様のあっさりした存在感、いかにも怪しい黒魔術師の悪役ぶりも、真のメインキャストであるクリーチャーを引き立てています。チビッ子が共感しやすいようにランプの精も配置。PPG風の動く絵本としての楽しさがあり、小学校低学年ぐらいの時期にスクリーンで観るべき映画だと思います。

 

小さくなったお姫様(パリサ姫役のキャスリン・グラントは本作公開の2年後にビング・クロスビーと結婚したそうです)は"モスラ"の小美人に、双頭の鷲とドラゴンは"キングギドラ"のデザインに何かしら影響を与えているのではと感じました。ちなみに、2、3作目の内容は全く覚えていなく、本作のガイコツ剣士との1対1の戦いを複数にしてバージョンアップさせた「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)ガイコツだけが印象に残っています。また、死刑囚たちのボスを演じた人が「マダムと泥棒」(1955)コイツだったことは今回初めて気づきました。そういえば、"シンドバッド"について自分が持っているイメージは、この映画シリーズと、昔のアニメ「アラビアンナイト シンドバットの冒険」(1975-1976)だったなあということを思い出して、懐かしくなりました。