「スプーン一杯の幸せ」(1975)

 

桜田淳子主演の青春映画をWOWOWオンデマンドで観ました。初見。

 

 

監督は廣瀬襄。主題歌を歌う桜田淳子はコチラ
 

野外のお茶会で足が痺れて体勢が崩れたところを盗撮された17才の梅村乃里子(桜田淳子)とその親友たち。盗撮男は乃里子の高校に新しく赴任してきた国語教師福島(黒沢年男)でした。その写真がなぜかグラビア週刊誌に掲載されて、乃里子たちはご立腹バドミントン部の彼女たちは、無断で撮影したペナルティを受けると言った福島スマッシュ攻撃を食らわせます。ガッツのある福島の姿を見て、万年最下位のチームのコーチになってくださいと懇願する部員たち。スパルタ特訓熱心に鍛える福島に淡い恋心を抱く乃里子。美人の乃里子を好きな同級生男子は多いけど、特定の彼氏はいない模様。住まいは上野らしく、ロケ撮影のシーンが多めです。

 

乃里子の母千恵(浜木綿子)も美人で、小料理屋の女主人。常連客のおっさん連中からモテモテ。乃里子の父は別の女と再婚しています。千恵が神社でお参りしているところを盗撮する男が登場。またしても福島です。シャッターチャンスがあると、ところ構わず撮影するさまはヘンタイと紙一重です。撮影モデルになってほしいと言い出す福島の熱意に押されて引き受けた写真がコンクールに入賞。千恵に惚れていることを見抜いた妹(早乙女愛)に後押しされて、福島はわりと急に千恵にプロポーズ。自分も好きなんだけど戸惑う千恵。お母さんなんて不潔と怒る乃里子。で、バドミントン対決で勝ったら、母と結婚してもいいと急に言い出す乃里子。福島との最終対決の行方はいかに・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1975年4月26日。同時上映は「想い出のかたすみに」。人気ラジオパーソナリティだった落合恵子のポエムありエッセイあり小説ありの人気出版シリーズが原作とのこと。桜田淳子初主演の松竹映画。同日に山口百恵の東宝映画「潮騒」も公開されて、アイドル対決となった結果は興収5億円と3億円で、山口百恵の勝ち。同じ日に東映は「県警対組織暴力」を公開しています。忙しい人気アイドルのスケジュールの合間を縫ってのお手軽なプログラムピクチャーで、当時17才の桜田淳子の素朴な魅力が堪能できます。好きな先生を母に奪われた桜田淳子が単身出かけた海に向かって「お母さんのバカー、先生のバカー」と叫んで気が収まったのか、最後は二人の結婚を許します。福島コーチに引率されて乃里子たちが不忍池付近を爽やかにランニングする場面でジ・エンド。セーラー服姿に、テニスウェア姿に、喪服姿にと、ストーリー付きの写真集として十分な出来。

 

乃里子に自作フォークソング入りのテープを渡したつもりが、愛を告白したテープを間違えて渡してしまって本人に聞かれてしまうドジな同級生男子のエピソードなんかは、昭和の微笑ましい青春という感じでキュンとしました。男子の中には学園ドラマの定番俳優、森川正太の姿もあり。乃里子と同じバドミントン部員の中では沢田亜矢子がとびきり色っぽいなと感心していたところ、当時すでに26才。反則です。当時40才の浜木綿子の和服美人っぷりもキレ味バツグンで、黒沢年男がこっちを選ぶのも納得。彼女のお尻を追いかけ回すおっさんたちは、坂上二郎、三遊亭小圓遊、橋達也小松政夫といった面々。桜田淳子ファンだった人はちゃんと満足して映画館を後にしたであろう、オーソドックスなアイドル映画でございました。