「THE LAST MOVIE STARS -ポールとジョアン 名優夫婦の映画のような人生-」(2022)

 

ポール・ニューマンとジョアン・ウッドワードの夫婦の軌跡を豪華俳優陣のアテレコで描いたドキュメンタリーをU-NEXTで観ました。

 

 

監督は俳優のイーサン・ホーク。全6エピソード。予告編はコチラ

 

コロナ禍でヒマを持て余していたイーサン・ホークにポール・ニューマンの遺族からポール・ニューマンとジョアン・ウッドワードのドキュメンタリーを撮らないかという依頼が届きます。遺族と同じ学校に通っていて、ポール・ニューマン夫妻を構内で見かけたという遠からぬ縁があったイーサン・ホークは、かつて自叙伝出版のために取材していたという数十万ページもある膨大な資料を受け取って、関係者にインタビューした記事を現代の俳優たちのアテレコで蘇らせて、当時の交友関係を通して、二大スター俳優の人生を振り返っていく構成を思いつきます。

 

ZOOMを使って音声収録に参加したメンバーは以下の通り。ポール・ニューマンの発言をジョージ・クルーニー、ジョアン・ウッドワードをローラ・リニー、ポールの最初の妻をゾーイ・カザン、ジョアンの継母をカレン・アレン、「暴力脱獄」監督のスチュアート・ローゼンバーグをサム・ロックウェル、エリア・カザンをボビー・カナヴェイル、「明日に向って撃て!」監督のジョージ・ロイ・ヒルをジョシュ・ハミルトン、「ロイ・ビーン」監督のジョン・ヒューストンをヴィンセント・ドノフリオ、「スクープ 悪意の不在」監督のシドニー・ポラックをオスカー・アイザックといった面々がアテレコします。その他にマーク・ラファロ、ユアン・マクレガー、サリー・フィールド、マヤ・ホークも加わった豪華布陣。さらに「ハスラー2」監督のマーティン・スコセッシ、ポール・シュレイダー、デイヴィッド・レターマンなどもZOOMインタビューに参加。

 

映画のワンシーンはもちろんのこと、メイキング映像、TV番組等の出演映像、プライベート映像も盛りだくさん。若手女優の有望株ジョアン・ウッドワードと、まだ売れる前のポール・ニューマンが舞台で初共演したところから、二人の物語は始まります。すでに妻帯者のポールはジョアンと出会って恋に落ちます。当時、男優でトップを驀進していたのは、マーロン・ブランド。二番手にはジェームズ・ディーンもいて、彼らとアクターズスタジオで研鑽を積んでいたポールはまだ芽が出ていません。天才型のジョアンはポールと結婚した1957年にオスカーを獲得。対照的に努力型のポールは徐々に頭角を現して、1960年代からスター俳優の仲間入りを果たします。

 

家族の時間を増やすために仕事をセーブして、ポールの連れ子3人と新たに産まれた3人を育てていくジョアン。1970年代中盤にスランプが訪れてアル中になっていくポール。レースに打ち込むようになり、政治活動を積極的にコミットしていくのもこの頃。長男の死という悲劇もありました。1980年代に入って渋みを増した演技で復活。ジョアンも本数こそ少ないものの、映画、舞台、TVドラマに出演して多くの受賞を積み重ねていきます。食品会社の成功で得た累計数億ドルの利益を恵まれない人たちに還元した社会貢献活動にも触れられていました。

 

これらの実人生で起きたエピソードを、彼らの出演映画シーンと重ねながら紹介しているのが非常に面白かったです。ポールは2008年に亡くなり、ジョアンは92才の現在も存命中です。二人が共作した映画は16本と意外と多いにも関わらず、私はほとんど観ていません。中でも「パリが恋するとき」(1963)、「WUSA」(1970)、「まだらキンセンカにあらわれるガンマ線の影響」(1972)、「ミスター&ミセス・ブリッジ」(1990)あたりはいずれ観ようと思いました。