「ナイブズ・アウト: グラス・オニオン」(2022)

 

ダニエル・クレイグ主演のミステリー物の続編をNETFLIXで観ました。

 

 

監督はライアン・ジョンソン。予告編はコチラ

 

テクノロジー産業で大成功を収めた億万長者のマイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)が週末のバカンスを楽しもうと、所有するギリシャの島に友人を招待。出席者は、コネチカット州知事クレア(キャスリン・ハーン)科学者ライオネル(レスリー・オドム・Jr.)、元スーパーモデルのバーディー(ケイト・ハドソン)、アシスタントのペグ(ジェシカ・ヘンウィック)、人気Youtuberのデューク(デイヴ・バウティスタ)、彼の恋人ウィスキー(マデリン・クライン)。その中にマイルズの因縁の相手、アンディ(ジャネール・モネイ)もいたため、招待者たちはザワつきます。さらには、彼らとは関係のない名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)もなぜか参加。クルーズ船に乗って島に到着した一行を迎え入れたマイルズ。各界で成功している招待者ですが、全員がマイルズの支援あっての地位のようで、友人同士の楽しいパーティーといいつつ、マイルズのパワハラで仕方なく出席している空気がアリアリ。

 

ルーブル美術館に所蔵されているはずの『モナ・リザ』のホンモノが飾られている豪邸にあるプールでくつろいだ後、夕食会で自分を被害者に見立てたミステリーゲームをしようと、マイルズ自らが考案した推理ゲームを招待者に強要します。しかし、空気を読まずにいきなり解答を導き出して瞬殺でゲームを終わらせるブラン。ただ、メインの話はこれからで、ブランが島にやってきた理由、出席者たちの関係性が徐々に明らかにされていきます。マイルズが巨万の富を築いた裏には、共同設立者だったアンディを追放した過去がありました。若き日に"グラス・オニオン"というバーに集まって事業を始めたマイルズとアンディ。残りのメンバーも店の常連客で、それが縁で仲良くなった経緯があります。しかし、マイルズの方針と対立したアンディを全員で追放してしまいます。なので、しばらく絶縁していた時期を経て、今回のマイルズのパーティーにアンディがやって来たことにメンバーたちは戸惑いを見せます。そんな因縁のある面々が集まって何も起きないわけがなく、ある殺人事件が発生。果たして、事件の真相は・・・というのが大まかなあらすじ。

 

2019年に公開されたダニエル・クレイグ主演、他豪華出演者陣が事件関係者を演じるミステリー映画の続編がネットフリックスで配信。原題は「Glass Onion: A Knives Out Mystery」。『グラス・オニオン』とは、登場人物のたまり場だった店の名前で、マイルズの豪邸に建造されたガラスで出来た球体状の建造物の名称。同名のビートルズの曲も流れます。アンディがつい最近不審死を遂げているため、パーティーに参加しているアンディは一体何者なのかというミステリーもあります。イーサン・ホーク、ヒュー・グラント、ヨーヨー・マ、カリーム・アブドゥル・ジャバー、アンジェラ・ランズベリー、ナターシャ・リオン、セレーナ・ウィリアムズ(彼女の使い方が一番面白かった)などが贅沢にカメオ出演。時報の声は、ジョセフ・ゴードン=レヴィット。ムダに豪華すぎる室内セット、ムダにカラフルな衣装、ムダにしつこい『モナリザ』の警備体制イジリ。ビジュアルも笑いも一定のトーンで統一されています。「ファイトクラブ」(1999)出演時のエドワード・ノートンを連想させる肖像画が飾られていたり、ジャレット・レトのハード・コンブチャ(怪しい成分が絶対入っている)、ジェレミー・レナーの激辛ソースなど、細かい内輪ネタも多々あり。謎解き自体が目的ではなく、陽キャの勝ち組に対する辛辣な視点、ウィットに富んだ役者陣のやりとりと全体に散りばめられた小洒落たお遊びで肩肘張らずに楽しめるリッチなエンタメ作品となっていました。