サミュエル・ホイ主演の犯罪アクションコメディを久々に観ました。
監督はエリック・ツァン。広川太一郎ナレーションのTVCMはコチラ。
香港のとあるビルの一室でダイヤモンドの闇取引を行っている二組の犯罪集団。その現場に隣のビルからワイヤーを使って窓から乱入してダイヤと金の両方を奪っていったのは、プロの盗人で通称"キングコング"ことサム(サミュエル・ホイ)。国際的な怪盗"白手袋"のフリをしての犯行。相棒のメカニック担当のジョー(ディーン・セキ)が手配したバイクで逃走、さらにジョーが用意していたモーター・ハングライダーで空へと飛んでいきます。ダイヤを強奪されたギャング団はイタリアンマフィアらしく、本物の"白手袋"に事の真相を聞き出したところ、オレの犯行じゃないというんで、白手袋自らが香港に派遣してダイヤの奪還に動きます。ビルで起きた事件を知った香港警察も、ニューヨークの国際警察で活躍していたコージャック(カール・マッカ)を香港に呼んで、男勝りの女刑事ホー(シルヴィア・チャン)とコンビを組んでの特別捜査を開始。
ダイヤを預かっていたジョーから隠し場所を女二人のイレズミに彫っていることを聞くサムですが、ジョーは地元のチンピラのボスの妹に手を出して、チンピラ軍団に追われて海で行方不明となったため、ダイヤの行方も分からなくなってしまいます。二人のイレズミ女を探すサムはホー刑事に捕まって、ダイヤの在処をコージャックと探すことになります。サムを捕まえてダイヤ強奪を狙う白手袋や、ジョーに続いてサムを追い回す地元のチンピラ軍団に絡まれながらも、イレズミ女を探し出して海底に眠るダイヤを見つけるサムとコージャック。そんなこんなで悪戦苦闘しているうちに刑事と泥棒という敵対関係から友情が芽生えていく二人。すると、ダイヤを奪いに来た白手袋が最後の総攻撃を仕掛けてきます。追い詰められたサムとコージャックの運命は・・・というのが大まかなあらすじ。
原題は「最佳拍檔」。"ベストパートナー"という意味らしいです。製作したシネマ・シティ(新藝城電影公司)は、レイモンド・ウォン、カール・マッカ、ディーン・セキの3人が設立して1980年代に一世を風靡した新興映画会社。「男たちの挽歌」シリーズもココの製作。本作はチョウ・ユンファ主演で想定していたところ、スケジュールの調整がつかず、スタッフの一人であるツイ・ハークがサミュエル・ホイを推薦して、主役に起用。都会的なアクションコメディはカンフー映画に飽きた香港の観客に大受け。公開当時の貨幣価値を勘案すると、現在でも歴代興行収入1位ではないかとも言われる伝説級のヒットを記録。ただ、日本ではヒットせず。3作目「皇帝密使」(1984)と4作目「スペクターX」(1986)は日本でも公開されていて、2、5作目はなぜかビデオスルー。
映画の内容は、ピンクパンサーシリーズに007シリーズをミックスさせたテイスト。かつて映画館で観た時はとても面白かった記憶があるのですが、久しぶりに観たらスジ運びはかなりアバウト。しかし、サムとコージャックの凸凹コンビにショートカット美人のホーが絡んでの珍騒動はユーモラスで、ビルで綱渡り、カースタント、首吊り、線路で危機一髪、クライマックスのラジコンカーを使った爆破などなど、小道具を駆使したアクションを盛り込んだ見せ場が沢山あって、演者のノリノリ気分が伝染して観客もゴキゲンになってしまう楽しさがある1980年代っぽい軽薄さ満点の映画でございました。ギターのリフで煽って、口笛でホッコリさせるテーマ曲がそのノリを象徴しています。