「クレイジー・ママ」(1975)

 

女家族が暴れまくるクライムコメディをU-NEXTで観た。

 

 

監督はジョナサン・デミ。予告編はコチラ

 

1932年のアーカンソー州で農家を差し押さえられて、保安官相手に銃で応戦して殺されたストークス家の夫。生き残った妻と娘は26年後、なぜかカリフォルニアで美容院を経営しています。ここでも家賃の滞納を大家に取り立てられた母娘は大家の車を盗んで逃走。母はシバ(アン・サザーン)、娘はメルバ(クロリス・リーチマン)。この二人にメルバの娘シェリル彼女を妊娠させた彼氏を合わせた4人の逃走劇がスタート。かつて奪われた農家を取り戻そうと考えて、まずはラスベガスに行って一儲けを目論みますが惨敗。そのカジノで会ったおっさん(スチュアート・ホイットマン)ババアリーゼント野郎が意気投合して仲間入り、農家復活の手伝いをすることに。

 

で、これからどうやって金儲けをしようかと話し合った7人組は、やっぱり強盗が手っ取り早くてイイよねとなって、さっそく行動開始。スーパーを手始めに、結婚式場バイクレース場銀行へと無計画に強盗先の規模をどんどん拡大。行き当たりばったりの犯行ですが、ことごとく成功。やりたい放題の犯罪集団と化して、ババアまでも銃を振り回して道中で強盗を繰り返す御一行は、当然のごとく、FBIに指名手配となって追われます。ネバダ、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサス、オクラホマを経て、ようやくアーカンソー州の農家跡地にたどり着いてみると、そこにはFBIや地元警察が待ち受けていて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

「血まみれギャングママ」(1970、未見)「ビッグ・バッド・ママ」(1974)に続いて、ロジャー・コーマン傘下でバーカー一家をモデルにして作られた映画の3本目。ジョナサン・デミは「女刑務所/白昼の暴動」(1974)に続く2本目の監督作。ジャンルムービーを手掛けていた初期からフェミニズム作家らしさが出てるかも。1950年代のオールディーズ音楽、ピンクやブルーのパステル調の色合いはポップでオシャレ。ストーリーはテキトーでバカ。カークラッシュを盛り込んだアクションは低予算のわりに頑張っています。自分たちの借金は社会が悪いと言わんばかりに踏み倒して好き勝手に暴れる個性的な面々のハチャメチャぶりは痛快。どう考えても、主人公たちの方が悪いです。待ち受けていたFBIに数人殺されるも、生き残った数名はマイアミで身を隠して飲食業をしている様子を映して話は終わりました。そこでも借金の取り立てをされているオチあり。ニューシネマ風の破滅への逃避行モノなのに、犯人全員がお気楽すぎて、最後までデタラメなのが良いですね。

 

主演のクロリス・リーチマン「ラスト・ショー」でアカデミー賞助演女優賞を獲ってからもアクションやコメディ等のジャンル映画(TVムービー多め)に出てばかりいる女優さん。宮崎駿作品の声優も2本やってるとか。昨年亡くなられるまでずっと活躍してたみたいです。その母親役を演じたアン・サザーンは70代後半に自身最後の出演となった「八月の鯨」(1987)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた人物。ちなみに、1932年の若き母娘時代を演じているのは、それぞれの実の娘。あと、ノンクレジットでジョン・ミリアス警官の1人として出演してたり、ビル・バクストンやデニス・クエイドが端役で映画デビューしてたりします。