「新幹線大爆破」(1975)

 

高倉健主演のパニックサスペンスの力作をU-NEXTで観ました。

 

 

監督は佐藤純彌。予告編はコチラコレはドイツ版の予告編。

 

東京駅を出発したばかりの『ひかり109号』に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が国鉄にかかってきました。北海道のSLに同じ爆弾を仕掛けたので冗談じゃないことは分かるはずと電話の主が言っていた通り、SLは爆発します。発車して時速80キロを超えた後、時速80キロ以下になった時点で爆発する仕組みになっております。マジかよと焦った国鉄の運転指令室責任者倉持(宇津井健)は109号運転手の青木(千葉真一)に報告。当面は時速100キロ台前半に落として停車駅をすっ飛ばしながら解決を待つことに。終点の博多までに爆弾を解除しないと、とんでもないことになります。通報を受けた警察も国鉄内に捜査本部を設置。

 

犯人は3名のグループで、500万ドルの身代金目当てであることが後に分かります。主犯は沖田(高倉健)。経営難で工場が倒産。妻と離婚して子供とも別れてヤケになっていた沖田がたまたま知り合った過激派くずれの古賀(山本圭)と自分を慕う大城(織田あきら)と共に、殺人が起きない完全犯罪として目論んだ大胆な計画でした。やがて、停車駅を通過したことで異変に気づく乗客。爆弾を仕掛けられたことを知って車内はパニック状態に。その後、身代金受渡しでの犯人との接触、爆弾設置ポイント情報を巡るトラブルなどの警察の不手際にキレた国鉄は自力で爆弾を解除する作戦を敢行。そうこうしているうちに新幹線は少しずつ終点に迫ってきます。新幹線に乗る1500名の乗客、そして、犯人グループの運命はいかに・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1975年7月5日。同時上映は「ずうとるび 前進!前進!大前進!!」。当時としては高額の制作費5億円のわりには大ヒットまではいかなかった模様。有名な"大学の柔道部員"、"喫茶店の火事"、"乗客の出産"といったシーン等はもっと他の展開を考えてくれよと思いますが、テレビ放送で初めて観た時にスケールの大きさとずっと続くサスペンスに夢中になった記憶があります。高倉健のスター性が際立ってるのはもちろん、シリアスなテンションを保ちながら室内で熱演する宇津井健のキャスティングが映画を引き締めています。これが東映初出演だったんですね。減速したら爆発するのが日本が誇る新幹線で、当時のトップスター高倉健が主演するというのは国宝級の企画なので、もっと時間と手間をかけて製作してもらいたかったところですが、限られた条件下でこのクオリティにまで仕上げた東映スタッフはスゴイの一言。あえて「タワーリング・インフェルノ」日本公開(6/28)にぶつける根性も東映らしいです。

 

出演陣には志村喬丹波哲郎渡辺文雄鈴木瑞穂田中邦衛北大路欣也川地民夫竜雷太郷鍈治岩城滉一青木義朗浜田晃矢野宣伊達三郎、十勝花子藤田弓子志穂美悦子多岐川裕美宇津宮雅代などなど、大御所からスター俳優のチョイ役、渋い脇役まで充実しています。今回、英語圏での公開用に再編集された「The Bullet Train」(115分に短縮)も観ましたが、こちらの方が余計なサブエピソードがカットされて、タイトなサスペンス劇になっていました。が、犯人側の回想シーンこそ要らないものの、乗客のエピソードやカメオ出演があった方がやっぱり楽しいかもと改めて感じました。なお、テレビはソニー製を使っていて、空港でもSONYのロゴを映していたりと、プロダクトプレイスメントが行われていました。