「サイコ2」(1983)

 

名作ホラーの続編をAmazonプライムビデオで観た。初見。

 

 

監督はリチャード・フランクリン。予告編はコチラ

 

前作でベイツ・モーテルに宿泊しているマリオン・クレイン(ジャネット・リー)シャワー中に惨殺されるシーンの回顧から。少年時代に母を殺したトラウマから自分自身の中に母親が同居している精神状態のまま、宿泊客を数名殺してしまったノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)。この事件以来、精神異常で病院に収容されていたノーマンの病気の完治が裁判所で認めらます。殺されたマリオンの妹ライラ(ヴェラ・マイルズ)が被害者を代表して抗議するも、22年ぶりにシャバに出ることになったノーマンは主治医レイモンド(ロバート・ロッジア)とともに、ベイツ・モーテルに戻ってきます。さっそく、二階の窓から誰か見られてる気配を感じて、まだ病気が治ってないのか不安になるなんてことがありつつも、まずは社会復帰ということで、近くの町のダイナーで皿洗いとして働きはじめます。ウェイトレスのリアクションはさまざま。初老の夫人のように温かく迎え入れる者もいれば、過去を知っていて冷たい目で見る者もいて、同棲してる彼氏と別れた若いメアリー(メグ・ティリー)とは仲良くなって、しばらくの間、モーテルに泊めてあげることに。

やがて、ノーマンの周囲で奇怪な出来事が起きはじめます。不在期間にモーテル管理を任されていたおっさん(デニス・フランツ)が、麻薬使用を容認してラブホ代わりに客を泊めていたことを知ったノーマンは激怒して解雇。翌日ダイナーに嫌がらせに来たおっさんが夜に何者かに殺されて行方不明に。ダイナー自宅では、大昔に死んだはずの母親からノーマン宛のメッセージ入りメモ用紙が出てきます。取り乱したノーマンはダイナーを辞めて、モーテル経営に専念。実はワケありでノーマンに接近していたメアリーもノーマンの不安げな挙動に同情してサポートに回ります。その後も、母親の部屋の内装が急に変わっていたり、自宅の地下室に忍び込んだ若いカップル男の方が殺されたりと、全ては二重人格による自分の犯行なのかと思い詰めるノーマンは徐々に精神に異常をきたしていき・・・というのが大まかなあらすじ。

 

ヒッチコック監督作品中でも有名な「サイコ」の続編を22年後に作るという無謀な試み。ケーブルテレビ放送向けに考えてたらしいですが、ずっと再演を断っていたアンソニー・パーキンスがノーマン役をOKしたことで、劇場公開に格上げされた模様。ノーマン役にはクリストファー・ウォーケンが候補に挙がってたようです。ただの失敗作と思って観てませんでしたが、別物のスリラーだと考えれば、まあまあ楽しめました。精神異常で殺人を犯した人間の社会復帰を阻む話にも見えるし、はたまた、異常殺人鬼がまた世に放たれただけなのか、アンソニー・パーキンスのたたずまいが不気味なので、終盤まで分からないところが面白い点。わりかし意表を突くラストが待っていました。主要人物がポンポンと死んでいきます。脚本はトム・ホランド。監督作「フライトナイト」(1985)とか面白かった記憶が。

 

ウェイトレス役のメグ・ティリーがチャーミング。声に艶があって色気があります。シャワーシーンもありますが、ヌードはたぶん替え玉。ヴェラ・マイルズは前作と同じ役で登場。ネタバレになりますが、実は●●と●●で、●●●という展開に。最初の被害者になるおっさん役は「ダイ・ハード2」やデ・パルマ作品等で脇役で見かけたおっさん。主治医のおっさんもいろんな映画の脇役で見かけた記憶があります。IMDBトリビアによると、ブライアン・デ・パルマが監督オファーを断っていたらしいです。シルエット遊び等のヒッチコックオマージュもあり、一定以上のサスペンス要素もあり、当時それなりにヒットしていたのも頷ける作品でした。犯人この中にいます