「アイデンティティー」(2003)

 

どんでん返し系のサスペンススリラーをNETFLIXで観ました。

 

 

監督はジェームズ・マンゴールド。予告編はコチラ

 

冒頭、殺人鬼マルコム・リバースの死刑執行前夜。死刑執行の是非についての再審議が行われようとしています。どうやら、彼の精神鑑定が議題の中心であり、現在、審議の場に身柄を輸送中のようです。時を同じくして、あるモーテルに豪雨で立ち往生した人たちが続々集まってきます。ベテラン女優カロライン(レベッカ・デモ-ネイ)と雇われ運転手のエド(ジョン・キューザック)ジョージとアリスの夫妻、息子のティミー、娼婦のパリス(アマンダ・ピート)。ルーとジニーの夫妻、刑事であるロード(レイ・リオッタ)と移送中の囚人ロバート。そして、モーテルの支配人ラリーといった面々。

しばらくすると、〇〇〇〇〇の惨殺死体が発見されます。逃げようとした囚人ロバートが怪しいです。エドは元警官だったため、ロード刑事と協力して殺人犯逮捕の手伝いを開始。今度は〇〇〇〇〇が別室で殺されてます。で、次には、〇〇〇にバットを突っ込まれている〇〇〇〇〇の死体が。それぞれの死体のそばには部屋番号の書かれたルームキーが残されており、10、9、8とカウントダウンしているかのようです。犯人だと疑われた〇〇〇〇〇が車で逃げようとしますが、誤って〇〇〇〇〇を轢き殺してしまいます。その死体のそばには7号室のルームキーが。逃げようとした〇〇〇〇〇を拘束して詰問していると、6号室で〇〇〇〇〇が死んでいました。もはや誰が犯人なのか分からなくなった状況となり、数人が車でモーテルから逃げ出そうとしたところ、エンジンを掛けた途端に車は爆発炎上。残ったメンバーが消火すると、車には死体がありません。さらに、モーテル室内に戻ると、これまでに死んだ人たちも全て消え去っているではありませんか。ワケが分かりません。一体どういうことなのか、実は・・・というのが大まかなあらすじ。

 

2000年代前半は映画をあまり観ていない時期だったため、本作の存在を知りませんでした。よく出来たシチュエーションスリラー。分かる人には分かってしまう真犯人かなあとは思いますが、オチがどうということではなくて、映画としての語り口がいいですね。なにより、一晩で起きた悪夢のような出来事を90分くらいで手際よくまとめてるところが素晴らしい。ストップモーションの使い方や時制の入れ替え等の編集の仕方も巧み。優れた短編ミステリーを読んだようで、凄惨な殺人事件の話なのにニンマリしてしまう感覚になります。真犯人の会話の節々には病んでいる心理状態が見え隠れしてるので、そのへんも見直すと違った味わいを楽しめるのではないでしょうか。

 

出演は、バカ売れしないけど長く売れているジョン・キューザック、絶対ワケありに違いないレイ・リオッタ、老けていて気付かなかったレベッカ・デモーネイ、忘れた頃に脇役で出てくるクレア・デュバル、ゲイリー・ビジーの弟のジェイク・ビジー、色っぽい娼婦役のアマンダ・ピートなど。IMDBトリビアによると、結末がバレないようにエンディングを数パターン撮影したとのことです。それにしても、レイ・リオッタの訃報にビックリ。「Dangerous Waters」という映画の撮影中だったとのこと。ご冥福をお祈りいたします。