「コンボイ」(1978)

 

アメリカのトラック野郎ムービーをU-NEXTで久々に観ました。

 

 

監督はサム・ペキンパー。予告編はコチラ

 

無線でやりとりをしながら陽気なアメリカンジョークを言い合って交流を深めているトラック野郎たち。通称ラバー・ダック(クリス・クリストファーソン)もそんな一人。ジャガーを乗り回す美女メリッサ(アリ・マッグロー)とスピード競争をしていたところを警察に見つかるダック。最初のセリフは「サノバビッチ!」。その時は難を逃れたものの、親しくなったピッグ・ペン(バート・ヤング)スパイダー・マイク(フランクリン・アジェイ)の3人で走っていたところ、ラバー・ダックを長年、目の敵にしている保安官ライル(アーネスト・ボーグナイン)の捜査に引っかかって罰金をとられてしまいます。トラック野郎の溜り場であるレストランに着くと、メリッサの姿が。この店のウェイトレスと付き合ってるダックですが、メリッサへの下心もたっぷり。そこにライル保安官もやって来たので、先ほどの仕返しとばかりに不遜な態度のライルをぶん殴って乱闘スタート。複数の保安官やトラック野郎が入り乱れた大ゲンカへと発展します。

さんざん暴れた挙句、その場を逃げ出して集団で州境に向かい始めるダックたち。どさくさに紛れてメリッサもダックの車に乗っています。少し遅れて、彼らの後を追う保安官たち。大乱闘の武勇伝を聞きつけたトラック野郎たちが続々とダック御一行に付いてきて護送船団(コンボイ)のような一大集団が形成されたことで、周辺住民マスコミも取材に来るような騒ぎになります。選挙運動中の知事がコンボイの人気にあやかって自身の票取りに利用しだす始末。一方のライルはスパイダー・マイクを捕まえることに成功、彼を囮にしてダックをおびき寄せる作戦を開始。ダックはお祭り騒ぎのコンボイ集団から抜け出して、マイク奪還のために警察署に向かって助け出します。しかし、マイク救出後のダックを待ち構えていたのは、州軍も動員した完全武装状態のライルの姿であった・・・というのが大まかなあらすじ。

 

大昔にTV放映で観て以来。初サム・ペキンパー映画体験ということもあって面白かった記憶があるのですが、世間の評判はあんまりよろしくないようです。今回久々に観たわけですが、たしかにグダグダした内容ですね。トラックが颯爽と画面に現れるオープニングはクール。パトカーが看板に突っ込むスタントが中盤にある以外、最後、保安官たちが武装する橋にトラックで突撃するダックの場面になるまで、盛り上がりを感じる場面がほとんどありません。ペキンパー十八番のスローモーションも、レストランでゆっくりと倒れていく小汚いおっさんたちの場面で使うというもったいなさ。無謀な勝負に出たダックは爆死、彼を追悼するセレモニーが盛大に行われて悲しむメリッサ。しかし、目の前に実は生きていたダックが現れます。これにはライルも笑うしかなく、強引にハッピーエンドで映画は終わります。

 

IMDBトリビアによると、スティーブ・マックイーンが当初の主役候補だったとか。また、サム・ペキンパーと(当時、マックイーンと結婚していた)アリ・マッグローはドラッグでハイになっていて、撮影が順調に進まなかったようです。ペキンパーが演出してないシーンもあり、FBI役で出演していたウォルター・ケリー出演していないジェームズ・コバーンがそれぞれ第二班監督としてサポートしたとのこと。ペキンパー自身は取材陣の音声役でカメオ出演。映画のデキはともかく、興行収入面ではペキンパー映画最大のヒット。とはいえ、全米20位の成績。同じように男臭いカーアクション系の「トランザム7000」(1977年全米興収2位)「ダーティファイター」(1978年興収4位)との違いは、主演スターの差と個々のキャラを魅力的に描いていない点かと思われます。疾走感では前者に負けていて、大らかなユーモアでは後者に負けています。