「ザ・ヒットマン 血はバラの匂い」(1991)

 

西城秀樹主演のVシネマをAmazonプライムビデオで観ました。

 

 

監督・脚本は石井輝男。予告編はコチラ

 

バブル時代のダサいディスコシーンから始まります。尻軽なネーチャンを外車で持ち帰りする男(小沢一義)。実は光吉組のヤクザで、車に乗せた途端に二人の組員が現れて海辺の埋め立て地に連れていき、ネーチャンに襲い掛かる非道な奴らです。そこに、どこからともなく長身の男が現れて、クサレ外道の三人を射殺。その男は、高梨友一郎(西城秀樹)。かつて、光吉組と熊佐組の抗争による喫茶店の銃撃戦最愛の恋人(黛まどか)が犠牲者となった男。政府筋の高官に大学時代の先輩(中条きよし)がいるらしく、ヤクザの情報を極秘に入手して復讐に燃えています

 

ヒデキは光吉組と熊佐組の両方の事務所に弾丸をお見舞いして抗争を煽りつつ、それぞれのヤクザを一人ずつ粛清しようとしています。話の途中で、銃が入っているアタッシュケースを不良娘ルミ(七瀬なつみ)に置き引きされるハプニングあり。アタッシュケースを奪おうとした熊佐組の若い衆の一人にブレイク前の豊川悦司も出演、序盤で殺されます。新宿で豊川悦司たちを殺害後、逃げ込んだソープランドでとりあえずソープ嬢と入浴するヒデキ。ヒデキのリッパな持ち物にカンゲキするソープ嬢。オッパイ越しのヒデキからの、太もも越しのヒデキ。ソープ嬢の自宅に匿ってもらうヒデキ。すると、そこにソープ嬢の親友ルミが現れた縁で、ルミと行動を共にするようになります。

 

ヤクザの殺人事件を追う警察側には現場刑事役にでんでん署長役に菅貫太郎、マル暴担当一筋の超ベテラン刑事役に丹波哲郎。丹波はヤクザ抗争事件をけしかけようとしている男がいるのではと推理しますが、そこに中条きよしがやって来て、捜査を続けないように署長にクギを刺します。静観して、極秘裏にヒデキにヤクザを一掃させようという腹づもりのようです。しかし、独断で捜査を続けてヒデキに徐々に近づいていく丹波。光吉組組長は死んで、残すは熊佐組組長、組長の隠れ家に一人乗り込んだヒデキの運命はいかに・・・というのが大まかなあらすじ。

 

一応、劇場公開(1991年6月14日)もされました。石井輝男としては12年ぶりになる東映での最後の監督作。監督との長年の絆がある丹波哲郎が珍しくヒラの刑事を演じています。最後は復讐を遂げたヒデキを逮捕するかと思いきや、見逃す懐の深さを見せます。そもそも白昼の喫茶店で起きた、目撃者多数の殺人事件を解決していない警察が無能で、ヒデキが自分で復讐しようと思うのも当然ですが。作品全体を通しては、Vシネマ予算での作品なのでチープさは否めません。AV女優の仙葉由季と藤本聖名子が脱ぎ要員で参戦。七瀬なつみも負けじとあられもない姿を披露してくれるので、エロの需要はきっちりと満たしてくれます。他には、ヤクザの親分の姐さん役で終盤に余貴美子も登場。肝心の主役のヒデキは、自身の持つスターのオーラがVシネマ的世界観では少し浮いています。アクションのキレはさすが。エンディングで流れる歌声もカッコイイです。スター性を生かせるいい作品にもっと出合えていればと思うと残念ですが、晩年に病気と闘う姿はカッコ良かったです。