「ザ・ミスフィッツ」(2021)

 

ピアース・ブロスナン主演の強盗クライムアクションコメディをU-NEXTで観た。

 

 

監督はレニー・ハーリン。予告編はコチラ

 

変装名人の知能犯リンゴ(ニック・キャノン)、爆破のスペシャリストのウィック(マイク・ダンジェロ)、接近戦ファイトのプロのヴァイオレット(ジェイミー・チャン)の3人は"ミスフィッツ(はみ出し者たち)"を結成しており、悪い奴らから財産を盗んで恵まれない人たちに分け与える活動を誰に頼まれるわけでもなく実行している義賊集団です。彼らのパトロンは"プリンス"と自称してアラブの王子だと吹聴する怪しげな金持ち。世界各国の刑務所を経営する実業家シュルツ(ティム・ロス)がイスラムのテロ組織と結託して、イスラム某国の刑務所にテロ組織の資金源となる金塊を隠し持ってる情報を掴んだ彼らは、金塊強奪を計画。助っ人として強盗・脱獄のプロ、リチャード・ペイス(ピアース・ブロスナン)をスカウト。

 

自身が経営する刑務所からの脱獄を数回繰り返していて、さらには、自分の妻も寝取っているリチャードのことをシュルツは目の敵にしています。そんなリチャードはミスフィッツと違って、欲望のおもむくままに活動してるため、義賊的行動には全く乗り気じゃありません。しかし、脱獄後に行った強盗で捕まりそうになったところをプリンスに助けてもらい、別れた妻との間にできた最愛の娘(ハーマイオニー・コーフィールド)が今回の仕事に自分を薦めたことを知ったリチャードは渋々メンバー入りすることに。難攻不落と思われた刑務所の弱点を見つけたミスフィッツは、大胆不敵な作戦で金塊強奪のミッションに挑むのだが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

ピアース・ブロスナン主演、ティム・ロス共演、レニー・ハーリン監督という組合せのわりには水準以下の内容だったかも。砂漠でのカーチェイスも刑務所での大爆発も接近戦アクションも金塊強盗もありますが、ハラハラするサスペンス演出が全くなされていません。それほど綿密でもない強奪計画を実行するミスフィッツは大した障害もなく金塊をゲット、危なげなく持ち帰って成功してしまいます。ワイスピシリーズとオーシャンズシリーズを足して、硫酸で割ってしまって大事なモノが溶けてしまったような感じというか。ハリウッドの第一線から遠ざかって以来、近年では中国で映画を撮ったりしてたレニー・ハーリン。完全復活はなさそうです。

 

ピアース・ブロスナンも過去のイメージ力だけで場を持たせています。007ばりのユーモラスな会話もちょっと空回り気味。製作総指揮に名を連ねているので、小遣い稼ぎの契約で出演した印象。もう一人、製作総指揮にクレジットされていて主要キャラとして出演していたのが、プリンス役のラミ・ジャバー。ラリーカーのプロドライバーから映画界に転身して、いくつかの映画をプロデュースしているパレスチナ出身の男。レニー・ハーリンを監督に起用したのは、現在フィンランド在住だからっぽいです。本作ではUAEから資金提供を受けていて、劇中のテロ組織に資金援助する国をUAEの対立国カタールに見立てているため、カタール政府からクレームを受けるトラブルがあったようです。また、実生活でもアラブ某国の王子だと自称しているらしく、なかなかの山師とお見受けします。