「愛は、365の日々で」(2020)

 

2020年に世界で最も視聴されたNETFLIX映画を観ました。

 

 

監督はバルバラ・ビアウォヴォンスとトマシュ・マンデス。予告編はコチラ

 

冒頭、おっかない人たちがシーサイドで何かの取引をしています。少女誘拐の話をしているので、サラリーマンの会議ではなさそうです。すると、親分らしきおっさんがどこからか飛んできた銃弾に倒れて即死。そばにいた息子は助かった模様。彼らは本場シチリアのマフィアのご一行でした。で、生き残った息子マッシモ(ミケーレ・モローネ)が死んだ父の後を継いでボスになったようです。今度は、自家用ジェットで世界を移動するマッシモの様子と、ワルシャワに勤めるやり手のOLラウラ(アンナ=マリア・シエクルッカ)の夜の様子がクロスカッティングで描写されます。まずは、ラウラ。帰宅しても同棲中の恋人は最近素っ気ない応対しかしてくれず、夜もご無沙汰。仕方なく、道具を使って体の火照りを鎮めています。続いて、マッシモ。自家用ジェットに同乗しているCAさんにフ●ラを強要、遠い空の上で気持ち良さそうな表情を浮かべています。それぞれのエロがクロスします。その後、少し経ってから、前述の二人があるホテルの庭で偶然遭遇するシーンがあって、画面が暗転。

 

気を失っていたらしいラウラが目覚めると、知らない場所のベッドの上。彼女はマッシモに誘拐・拉致されていたのでした。父が撃たれた時に受けた流れ弾で重傷を負って生死を彷徨った時に脳裏に浮かんだ理想の美女がいて、その美女がお前だったんだと、この前遭遇した時に分かったので連れ去ってきたんだと血迷ったことを言い始める男。逃げようとするラウラを制止して「365日の猶予をやるから、その間に俺のことを好きになれ」とマッシモは言い放ちます。好きになってくれるまでは、いっさい手を触れないとのこと。逃げることはできませんが、住まいも食べ物も豪勢だし、時には外出して高級ブティックでの買い物も自由にさせてくれます。そもそもが、シチリアのマフィアの若きボスは身長190cm、ラテン系のワイルドなイケメン。かなり手荒な扱いですが、お姫様扱いもしてくれてるわけで、内心、悪い気はしないラウラ。没収されていたケータイも返してもらいましたが、心配している両親に電話しても、シチリアで新しい仕事を見つけたから安心してねと報告するぐらいで、マッシモに拉致された生活を楽しみ始めます。たまに夜になると、性的行為には及ばないものの、ラウラを縛ったり、目の前で他の女とプレイしたり、寸止め焦らしプレイで挑発するマッシモ。やがて、自分への愛が本物だと分かったラウラ自身もマッシモへの思いが次第に強くなっていき、ついには・・・というのが大まかなあらすじ。

 

お互いが愛し合ってると分かってからは、所かまわずプレイしまくる場面がずっと続きます。マッシモが所有するクルーザーで、ラウラに買い与えた高級マンションで、そのへんのトイレで、貪るように愛し合う二人。いろんなことを本当にしてるんでは?とネット上で噂されるくらいの迫真の演技で楽しませてくれます。前半のストーリーは後半で乱れまくる二人を見せるための前フリでしかなく、たっぷりと濡れ場を堪能した後に、晴れてマッシモと結婚したラウラの存在を妬んでいるマッシモの元カノが企んだとされるラウラ襲撃事件が発生、ラウラは死んでしまったかもと匂わせて、映画は終わりました。

 

ポーランドでベストセラーとなったブランカ・リピンスキ原作エロ小説の映像化。男性も楽しめるけど、どっちかといえば、女性向けに作られたソフトポルノ。危険な香りがする、ルックスもバツグンのいい男にワケも分からず愛されて監禁されて、贅沢な生活をさせてくれて、そのうちに男の内面の優しさも知ることになり、自分も本気で愛してしまうという、夢のようなシチュエーションを提供してくれます。小奇麗に、かつ、リアルにSEXシーンを演出しようという一点に制作陣の情熱が注がれていて、エロに全振りしてるところに好感が持てます。マッシモ演じるミケーレ・モローネは満点のイケメンっぷり。対するラウラ役のアンナ=マリア・シエクルッカはキレイではあるけど、ほどよい親近感を醸し出していて、二人のエロの化学反応が、上っ面だけの官能性としては最上級のクオリティを生み出しています。マッシモが秘部にツバを付けるシーンは、ポーランドの若者のSEXでは普通のプレイだと彼女が主張してカットを免れたとのこと。細部へのこだわりは大切です。

 

Googleで2020年に検索された映画の世界ランキングでも4位に食い込んでいます。また、第41回ラジー賞では、作品賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞など、主要部門は全てノミネート。惜しくも受賞は最低脚本賞のみとなりましたが、ポーランド映画でここまで話題になるだけでも快挙。当然のように、三作目までのシリーズ化が決定しています。