「ヤクザプリンセス」(2021)

 

ブラジル、日本、アメリカ合作映画をU-NEXTで観た。

 

 

監督はビセンテ・アモリン。予告編はコチラ

 

ちょっと昔の映像から始まります。大阪の仏閣で記念撮影している家族が襲われて、幼女一人だけが生き残る惨事。現代に戻って、ブラジル・サンパウロ。緊急病棟に運ばれた傷だらけの男(ジョナサン・リース=マイヤーズ)が眠りから覚めます。記憶を失ったようで、自分の身に何が起こったのか分かってない状態。同じくサンパウロの日本人街で20代前半の女性アケミ(MASUMI)が祖父の指導で剣道に勤しむ映像。で、次は現代の大阪に場面は移ります。ヤクザらしき男タケシ(伊原剛志)が一人の男を拷問していました。拷問していた男からある秘密を聞き出します。そこからまたサンパウロに戻って、夜のクラブで女友達と飲んでいる時に男三人組に絡まれて、そのへんにある棒を剣のように使ってボコボコにするアケミ。そして、先ほどの傷だらけの男がなぜ日本刀を持っていたのか、病院のベッドで警察に尋問を受けている映像。男はスキを見て、日本刀片手に病院から抜け出します。

 

アケミが自宅に戻ると、さっきの男三人組が銃を手にして仕返しにやって来ます。痛めつけられると思った矢先、なぜか吸い寄せられるようにアケミの自宅に潜入していた傷だらけの男が、持っていた日本刀で男たちを斬りつけてアケミを救います。すると、大阪からサンパウロに来ていたヤクザのタケシもアケミの自宅にやって来て、二人を銃で殺そうとします。かろうじて銃撃を交わして逃げ延びるアケミと傷だらけの男。アケミの祖父はすでに殺されていて、祖父の知人宅に匿ってもらうことに。そこにタケシがやって来ます。実は、アケミの本当の家族はかつて大阪全域を治めていたヤクザのボスで、アケミは新興勢力のボスに裏切られて惨殺された一家の生き残りなんだという真実を告げられます。そして、かつてアケミの家族を皆殺しにして今では大阪ヤクザの頂点に立った新ボスが、アケミがサンパウロで生きていることを知って、傷だらけの男を殺し屋に雇ったのでありました。タケシはアケミの父の元舎弟で、前述の拷問した男からアケミが生きているという秘密を聞いてはるばる助けに来たわけです。といった感じで、ムダに入り組んだ事実関係が見えてきた終盤で、大阪からアケミを殺しに来たヤクザ軍団と、アケミとタケシ、そして記憶喪失の傷だらけの男がビルの屋上で最終決戦を繰り広げる・・・というのが大まかなあらすじ。

 

ブラジルで人気のグラフィックノベル『SAMURAI SHIRO』が原作とのこと。一人の女性が自分の過去を知って、家族を殺した者への復讐の旅に出るという物語の始まりの部分を映画化した内容。製作の主体はブラジルで、ほぼ全編サンパウロで撮影されたようです。外国映画でおなじみの誤解された日本描写がたっぷり。安っぽい日本語表記の看板が出てくる回数を数えるだけでも楽しめます。予告編にあるように、日本刀をぞんざいな扱いで振り回しての惨殺シーンもたくさんあります。あと、やたらと顔面を蹴ったり殴ったりして血しぶきが飛ぶシーンが多いです。LAでミュージシャン活動をしていたMASUMIが映画初主演。アクションもがんばっていますし、サービスショットもあり。傷だらけの男が祖父を殺した後になぜ記憶喪失になっていたのかについては、劇中で説明がなかったか、私が見落としたかのどちらかです。伊原剛志が彼女を助ける貫禄あるヤクザ役。新たに大阪を統一したヤクザ勢力のナンバー2を演じているのが尾崎英二郎で、本作のラスボス。大阪のボスはまだ生きているので、アケミが復讐を果たすのは次作以降に持ち越しとなって映画は終わりました。たぶん、続編はなさそう。