「激突!」(1971)

 

タンクローリーが平凡な男を襲う古典的名作をU-NEXTで久々に観ました。

 

 

監督は若き日のスティーブン・スピルバーグ。予告編はコチラ

 

しがない中年のセールスマンのデヴィッド(デニス・ウィーバー)。朝からハイウェイを飛ばして取引先との商談に向かいます。途中でチンタラ走るタンクローリーがいたので、何の気なしに追い越したところ、運転手が機嫌を損ねたようで、この後ずっと付きまとわれます。追い抜いても、先に行かせても、途中のカフェで休憩して時間を稼いでも、デヴィッドの車の前後をピッタリとマークして離れません。同じカフェで休憩しても正体を現さず、電話ボックスで警察に通報しようとすると、電話ボックスごとタンクローリーで破壊しようとしたり、完全にデヴィッドの命を狙ってきています。覚悟を決めたデヴィッドは殺るか殺られるかの勝負に挑むことにしたのだが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

米国ABCの「ABC Movie of the Week」の番組枠で1971年11月13日(土)20時30分から放送された正味74分のTVムービー。追加撮影してヨーロッパでは88分版、アメリカや日本では90分版で劇場公開されました。日本での公開は1973年1月13日。原作は『PLAY BOY』に掲載されたリチャード・マシスンの短編。脚本も手がけています。タンクローリーのドライバーが最後まで何者か分からない設定が秀逸。のちの大ヒット作「ジョーズ」(1975)にも繋がる、あの手この手で緩急を付けながらサスペンスを持続させる当時25歳のスピルバーグの手腕は見事。本作が映画作りの教材に使われているというのも納得。ちょっとだけ観るつもりが結局最後まで観てしまいました。

 

ブルーレイの特典に入ってるスピルバーグが語る撮影秘話によると、デヴィッドが助けを請う老夫婦「未知との遭遇」(1977)にも老夫婦役で出演していて、電話ボックスや飼ってるヘビ等のペットを無茶苦茶にされるおばちゃん「1941」(1979)でもおばちゃん役で同じ人が出演してるとのこと。害虫駆除業者の車に書いてある社名が「Grebleips」となっているお遊びもあります。また、電話ボックスの場面では、撮影中のスピルバーグがガラスの右下に映ってしまっています。あと、前半でちょこっとだけ出る主人公の奥さん役のジャクリーン・スコットが「突破口!」(1973)ナディーン役の人だということを今回、初めて知りました。それと、助監督がクリント・イーストウッド映画のスタッフでおなじみのジェームズ・ファーゴだったのもビックリ。スピルバーグの初期作品もいくつか助監督をしてたことを知りました。