「DUNE/デューン 砂の惑星」(2021)

 

SF超大作を池袋グランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGT字幕版で観てきました。

 

 

監督はドゥニ・ヴィルヌーブ。予告編はコチラ

 

西暦10190年。宇宙は帝国の支配下にあり、大領家がそれぞれの惑星を治めていました。ある日、大領家のレト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)が惑星アラキスの統治を皇帝に命ぜられます。アラキスは"デューン"と呼ばれる砂漠の惑星で、超重要物質『メランジ』の唯一の生産地。メランジは、人間の意識を拡張させたり、超光速飛行を可能にする動力源にもなったりするスパイスのこと。これまでアラキスの統治を任されていてメランジ生産で巨万の富を築いたハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)とアトレイデス公爵とはライバル関係にあり、突然の皇帝の指令には帝国側の策略の匂いがします。ある程度の覚悟をしつつ、レト公爵は側室のジェシカ(レベッカ・ファーガソン)、息子で後継者のポール(ティモシー・シャラメ)達を連れて、アラキスに向かいます。スパイスの採掘現場である砂漠で巨大で狂暴な砂虫(サンドワーム)に襲われるだけでなく、ハルコンネン男爵の奇襲攻撃を受けて絶体絶命のピンチに陥ったアトレイデス家の運命は・・・というのが大まかなあらすじ。

 

フランク・ハーバートのSF大河小説『デューン』の2度目の映画化。原作は未読。デヴィッド・リンチが監督した1作目は失敗作との評判があったため、未見のまま。その代わりに「ホドロフスキーのDUNE」(2013)はチェック済。本作の前情報を完全シャットアウトして観てまいりました。まず、いきなり"Dune: Part One"のクレジットがあってビックリ。155分の章立てとしてパート1、パート2の前半と後半に分かれてるのかなと思ったら、本作は2部構成の前半までを描く予定とのこと。長編小説なので、駆け足で1作にまとめるよりは賢い選択だと思います。アトレイデス家に訪れた試練を描きつつ、物語上の社会構造や人物相関を示すキーワードが会話の中に説明のためのセリフにならないようにうまく散りばめているので、事前情報なしの人間にも少しずつ理解できるような仕組みになっています。かなり先の未来なのにIT系の機器が現代より退化してること(AI反乱後の世界でコンピューターの製造・使用が禁止されている)や、アラキスの住民が青い目をしている理由(メランジを摂取している副作用らしい)等々、知ってないと分からない設定もありますが、知らなくてもストーリーは理解できます。

 

なんといっても、格調高い映像が圧巻。砂の惑星アラキスに行ってからの全ての画面が眼福。上下の映像がカットされないIMAXで観るべきで、フル画面の環境(日本では、池袋と大阪のみ)が近くにあって良かったです。本作では全貌を見せなかったサンドワームや、トンボみたいな乗り物、他の細かいガジェット等は世界観を形作るパーツとして画面をうるさくしない程度に登場していて、あくまでも自然のダイナミックさを実写で見せることを優先している感じがとても良かったです。ハンス・ジマーの音楽はちょっとしつこいかも。

 

役者陣も豪華。主人公ポールのティモシー・シャラメは貴公子然としてドンピシャの配役。頼りない感じが覚醒前のヒーロー像にマッチしています。父役のオスカー・アイザックや家来のジョシュ・ブローリンジェイソン・モモアスティーブン・ヘンダーソンの安定感は抜群。医師役でチャン・チェンが出ていたのはオドロキ。2番目の主人公といえる母役のレベッカ・ファーガソンの凛々しい美しさも完璧。肥満のハルコンネン男爵役のステラン・スカルスガルドは彼だと気づきませんでした。彼の甥役のデイヴ・バウティスタはSF大作には欠かせないキャラ。あとは、アラキスの先住民(フレーメン)の一員で出てくるハビエル・バルデムゼンデイヤ、女性だけの秘密結社的組織(ベネ・ゲセリット)のメンバーにシャーロット・ランプリングなど、要所要所のキャスティングがしっかりしています。マーベルとかDCとかスターウォーズとかに出てる俳優の被りが多いのはしょうがないのかな。序章としては大満足ですが、断片しか紹介してない部分も沢山あるし、まだ出てこない主要キャラもいるし、活劇としてのワクワク感が本作は少ないので、物語としてのカタルシスを味わうには次回作まで待つ必要があります。果たして、無事に作られるんでしょうか?