「ワン・クレイジー・サマー」(1986)

 

ジョン・キューザックとデミ・ムーア共演のコメディをU-NEXTで観た。

 

 

監督はサヴェージ・スティーヴ・ホランド。予告編はコチラ

 

バスケ選手を生み出す家系に生まれたフープ(ジョン・キューザック)ですが、運動はからっきし苦手で、完全に文科系。好きなイラストの仕事をするためにアートスクールへの進学を考えています。高校の卒業式を終えて、モテそうにない親友ジョージ(ジョエル・マーレイ)小さな妹を連れてナンタケット島に卒業旅行に出かけることに。奨学金獲得のための課題イラストがラブストーリーだというんで、奥手のフープも島でひと夏の恋を経験しようと意気込みます。島に向かう途中、ひょんなことでナンタケット島出身の歌手志望のカサンドラ(デミ・ムーア)と知り合い、なんだか恋の予感。島に帰るカサンドラを車で送った時に、カッコつけてバスケが得意だと吹聴します。

 

宿泊先はジョージの伯父の家。島で出会ったジョージの旧友も変わり者の兄弟で、全く色気がありません。ただ、イケイケの美女になぜか熱烈に誘われて、ドライブインデートをするフープ。でも、ケンカの強そうな彼氏に見つかってしまい、さあ大変。1対1の殴り合いの対決になりそうなところにカサンドラがやって来て、ケンカじゃなくてバスケのフリースロー対決を提案。フープに良かれと思っての提案だったのに、シュートを1本も決められず、完敗。カサンドラにもフラれます。ケンカの強そうな彼氏は不動産開発をしている島の有力者のボンボンで、カサンドラの実家を地上げで奪おうとしていました。フープは、カサンドラのライブ観客動員作戦を実行したり、実家の権利を賭けてボートレース対決をしたり、なんとかカサンドラの信頼を回復しようと奮闘しますが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

冴えないオタク系のティーンが、金持ちで体育会系の男と勝負することになって、なんやかんやで勝利して女の子もゲットするという王道の青春コメディ。ビーチ・ボーイズをメインとしてステッペンウルフ、ZZトップといったゴキゲンな音楽をバックに脳天気なストーリーが展開されます。監督と主演のコンビでは「やぶれかぶれ一発勝負!!」(1985)に続いての2作目。アメリカでは、両作とも1980年代らしいコメディとして妙なカルト人気があるようです。イラストレーター志望のフープの書いたイラストが劇中でアニメになるという凝った仕掛け。これは、アニメーターでもある監督の手によるモノ(前作でもアニメを多用している)。バカンス中の島でイルカがリゾート地を襲う映画の撮影が行われていたり、映画撮影チームの衣裳部屋にはいろんなクリーチャーの着ぐるみがあったりするのも監督の趣味なんでしょう。ゴジラの着ぐるみを着てミニチュアセットを踏み倒すシーンもあり。散りばめられるギャグはカートゥーンアニメ風のドタバタ。海にバイクで突っ込んだ暴走族のリーダーの髪の毛に魚が絡みついてるというギャグをマジメに実写でやられてもそんなに笑えるものではありません。ちなみにこの俳優さんは「グーニーズ」(1985)この役を演じた人です。

 

日本では劇場未公開で、VHSテープでリリースされたっきりだったのが、急に配信されました。今年の8月にアメリカでブルーレイがリリースされた影響によるものか。ジョン・キューザックは1980年代青春映画の主役の常連、デミ・ムーアは脚光を浴び始める直前の出演で、共に若々しいです。フープの親友ジョージ役のジョエル・マーレイはビル・マーレイの弟。また、「ポリアカ」シリーズでおなじみのハイテンションなセッド役ボブキャット・ゴールドスウェイト(写真右)と、「ナーズの復讐」シリーズでおなじみの不潔なブガー役で人気のカーティス・アームストロング(写真右)もフープの仲間として登場。彼らポンコツチームが力を合わせて、クライマックスのボートレース対決に挑みます。同じ時期のワーナー作品だし、学生版の「ポリアカ」を狙った感じ。ギャグの質より量で勝負のおバカコメディが好きな人には一見の価値がある作品です。