「昭和極道史」(1972)

 

梅宮辰夫主演の任侠映画をAmazonプライムビデオのJUNK FILM by TOEIで観た。

 

 

タイトルには王道感があります。監督は佐伯清。 

 

東京・錦糸町の吉井組の沢木(梅宮辰夫)は、親分を殺して組を解散させた新興ヤクザ組長・大関(渡辺文雄)を襲うも失敗して刑務所入り。出所した沢木は、ムショで知り合って兄弟分となった関西昭栄会若衆頭・中原(待田京介)の世話を受けます。中原の目的は昭栄会の東京進出の捨て駒に沢木を利用すること。そうとは知りつつも、世話になった恩義を返すべく、かつてのシマだった錦糸町に乗り込んで因縁のある大関組に盾突く沢木。同じく大関に父を殺された過去を持つ夜桜の美佐(加賀まりこ)と知り合ったり、かつての弟分で今は大関組側に回ってしまった神谷(渡瀬恒彦)との再会があったり、敵対する大関と中原が悪人同志ゆえに仲良くなる展開があったりして、最後は梅宮&渡瀬featuring加賀で渡辺文雄&待田京介連合軍に殴りこんで行く・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1972年10月12日。同時上映は鶴田浩二主演の「着流し百人」。同年3月に藤純子が引退、翌年に「仁義なき戦い」が公開される狭間に作られるという、任侠路線から実録路線に移行する過渡期に位置する作品。最後に男2人で殴り込みに行くパターンは「昭和残俠伝」と同じ。任侠映画を支えてきた佐伯清もこの年で劇場公開作品の監督から退いていくので、演出に覇気がないように感じられます。原作は劇画家村上和彦の「昭和極道史」シリーズ。ちなみに、最初の映画化となった「現代やくざ 盃返します」(1971)も監督は佐伯清でした。

 

ただただ、あらすじを追ってるだけの単調な展開で、ワンパターンだからこその定番の面白さもそう感じないし、かといって、ものすごくツマラナイわけでもない映画でした。義理を重んじる梅宮辰夫のクールな演技は悪くないです。腹黒い待田京介と渡辺文雄、一本気で血の気多めの渡瀬恒彦あたりは安定の演技。強い印象を残すのは、ヒロイン役の加賀まりこ。女ヤクザが似合ってるとは思えませんが、キレイなのでそれで良し。梅宮辰夫に惹かれて、最後、辰兄の腕に抱かれて絶命します。堅気に戻って小さな建設会社社長で働く丹波哲郎や、ラスボスかと思いきや、昔気質の仁義あるヤクザを演じる金子信雄のキャラはいつもと違ってレア感があり。脇キャラでは、終始ハシャギ気味の潮健児、中間管理職的ポジションの高宮敬二ががんばっていて、太古八郎名義のたこ八郎がザコキャラで出ていたくらいかな。たこ八郎は珍しくセリフが3つ以上ありました。