「ゾンビ特急"地獄"行き」(1972)

 

B級カルトホラーがアマプラで配信開始されたので、観ました。

 

 

豪華三大スター共演のテンコ盛り映画。予告編はコチラ

 

ブルーレイ・DVDでのタイトルは、「ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急"地獄"行」。ゾンビを特急列車に乗せてしまったら、行き先が地獄になってしまうのは必然です。20世紀初頭、満州の氷壁でミイラを発掘したサクストン教授(クリストファー・リー)が、シベリア横断鉄道での極秘輸送を計画。偶然にも旧知のウェルズ博士(ピーター・カッシング)も同じ列車に乗車することに輸送の中身を詮索するウェルズを無視。発車前に輸送物を盗もうとした泥棒がミイラが入っているボックスの前で白目を向いて怪死している事件も発生。不穏な空気を漂わせながら、上海発モスクワ着の列車は発進。どうしても中身が気になるウェルズはワイロを渡して列車の荷物係を買収して中身を調べさせます。まもなく、荷物係も白目を向いて死亡同乗する刑事が捜査を開始します。ミイラが生き返って、殺人を犯していることが判明します。

 

実は、他にも伯爵が持つある金属物を奪うために国際的な女スパイも同乗しているのですが、金庫から女スパイが金属物を奪おうとしてるときにミイラに遭遇して、白目を向いて殺されてしまいます。刑事から死体の解剖を頼まれたウェルズ博士は死体の脳ミソを見てビックリ。シワのないまっさらな状態になっていました。ミイラは相手の目からその人の記憶を全て吸い尽くして、自分の記憶にしてしまう性質があるようです。捜査を続ける刑事もミイラを撃ち殺そうとした時に危うく白目を向きかけますが、かろうじて助かった模様。一方のミイラは射殺されました。車掌が次の中継駅に電報でSOSを知らせたので、ロシアのコサック騎馬隊が乗り込んできます。隊長(テリー・サバラス)が怪しい人物を調査しはじめると、刑事の目が突然赤くなって、乗客に襲いかかろうとします。ミイラに寄生していた何かが今度は刑事に乗り移っていました。刑事を殺すと、次はそばにいた神父に乗り移って騎馬隊を全員白目にして殺します。さらには神父が白目を向いた死体たちを蘇らせると形勢は完全に逆転、列車内は蘇ったゾンビだらけになって、地獄絵図と化していく・・・というのが大まかなあらすじ。


完全にネタバレになってしまいますが、ミイラは太古の昔に地球にやって来たエイリアンの唯一の生き残りで、恐竜や原始人たちに寄生して生き延びていて凍結されていたところ、発掘されて解凍されたために蘇りました。満を持して終盤に乗車してきたテリー・サバラスが事件を解決してくれるのかと思ったら、神父にやられて白目を向いて死亡、蘇ったゾンビ一行の側に回ります。最後はクリストファー・リーが活躍、乗客を最後方車両に集めてエイリアン(=ゾンビ)が乗る前方の車両と切り離して、進路変更した前方車両だけを崖から転落させて爆発、エイリアンを全滅させます。全滅させられる前にエイリアンは「見逃してくれたら地球の飢餓をなくしてあげる」という素敵な条件を乗客たちに提示して命乞いをします。もともと、新たな科学上の発見をするためにミイラを持ち帰ろうとしたサクストン教授なら助けてあげてもよかったような気がします。

 

スペインとイギリスの合作。三大スターだけでなく、刑事役も神父役も伯爵役もいい演技をしていて、人間ドラマとしてもしっかりしています。神父役のアルベルト・デ・メンドーザはロバート・デ・ニーロに似ていました。他に、女スパイ伯爵夫人も彩り要員として同乗させていてゴージャス感も醸成しています。列車のミニチュア撮影もクオリティもなかなか。死体の頭を切開したり、目ん玉をくり抜いたりするゴア描写も押さえています。荒唐無稽な設定もそれなりにロジカルなので、すんなりストーリーに入っていける素晴らしいエンタメ作品でした。