「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)

 

パニック映画の大傑作をU-NEXTで観ました。

 

 

ノーカット字幕版を観たのは初めてだと思います。予告編はコチラ

 

昔のように災害モノを絵空事として単純に楽しめなくなっていますが、人間ドラマとしてはホントに良くできています。転覆後の船内のセットもきちんと作りこまれていて、今観ても全然古びていません。2時間弱で収まっているのも素晴らしく、ディザスター映画の原点、かつ頂点と言われているのも納得。監督はロナルド・ニーム。脚本はスターリング・シリファント。

 

序盤は、大晦日の豪華客船ポセイドン号の乗客や乗組員たちの人となりを紹介しながらテキパキと描いています。NYからアテネへと向かう旅の途中。船内のディナーは新年を迎えるパーティーを開催中。ただ、3日間ほど航行日程が遅れているようで、豪華客船オーナー代理の男が経済的損失を心配して、乗客の安全第一がモットーの船長(レスリー・ニールセン)に全速力で前進してスケジュールの遅れを取り戻すように命令します。そんな状況下で、運の悪いことに、近海で海底地震が起きた影響による津波が老朽化したポセイドン号に襲いかかります。一瞬にしてポセイドン号は転覆。年明け早々、上下が逆さまになってしまいパーティー会場は大パニックとなります。

 

ここから、転覆した船から何とか脱出して生き延びようとする人たちの物語が始まります。海面下に沈んでしまったパーティー会場に居座って救助隊の到着を待つことにした大多数の乗客は会場に海水がなだれ込んできて溺死してしまいます。一方、会場を出て自分たちで船底まで進む道を選んだ少数派だけが、かろうじて難を逃れました。主役は、残された人たちの先頭に立って、自力で道を切り開こうとするスコット牧師役のジーン・ハックマン。彼と行動を共にするのは、刑事役のアーネスト・ボーグナインと元娼婦の奥さん役のステラ・スティーブンス、老夫婦(太めの奥さん役がシェリー・ウィンタース)、雑貨店経営者役のレッド・バトンズ、ウェイター役のロディ・マクドウォール、ステージの歌手役のキャロル・リンレイ、若い姉ちゃん役のパメラ・スー・マーティン、その弟の船内の様子に詳しいオタク小僧9人意見が合わないオジサン二人がいがみ合いながらもチームを引っ張って、反転している船の船底を目指して力を合わせて上っていくわけですが、善良な人たちが次々と命を落としていくのがとてもツライです。個々のエゴも噴出しますが、このパニック状況の中では許容範囲。むしろ、くじけながらも勇気を奮い立たせていく姿が心に染み入ります。

 

1972年の興行成績では「ゴッドファーザー」(1972)と年間1位を争う大ヒットを記録。転覆しかけていた20世紀フォックスの経営危機を立て直したそうです。この映画のキーマンはプロデューサーでもあるアーウィン・アレン。アクションシーンの演出も兼ねた次作「タワーリング・インフェルノ」(1974)も大ヒット。TVムービーでも「大洪水」(1976)なんていうのがありましたが、観たのに内容は覚えていません。その後、自分で監督した「スウォーム」(1978)「ポセイドン・アドベンチャー2」(1979)がコケて、プロデュースのみの「世界崩壊の序曲」(1980)の大コケで、パニック映画祭りは終焉となりました。